「カスハラ防止法」は通称?正式な法律名と改正内容をわかりやすく解説
法令状況(記事基準日:2026年8月29日):改正労働施策総合推進法による事業主のカスタマーハラスメント対策義務は、2025年6月11日に公布され、2026年10月1日に施行されます。記事基準日には全国法は施行前です。2026年10月1日以後に読む場合、全国の措置義務は施行済みです。一方、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例など、記事基準日にすでに施行されている自治体条例もあります。
対象読者:法令名を正確に記載したい広報・法務・人事担当者
テーマ:法令・制度
ニュースや会話で使われる「カスハラ防止法」は、分かりやすく内容を示す通称です。正式には、2025年に成立した複数法令の一括改正により、労働施策総合推進法へカスタマーハラスメントに関する事業主の措置義務などが追加されました。独立した名称の法律が新設されたわけではありません。
一般向け記事で通称を使うこと自体は問題ありませんが、正式名称と施行日を初出で補うと誤解を防げます。社内規程、取締役会資料、契約先への説明など根拠を明示すべき文書では、どの法律のどの制度を指しているかが後から確認できる書き方にします。
改正法と改正後の法律を区別する
2025年6月11日に公布された法令の正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」です。この改正法が、労働施策総合推進法など複数の法律を改めました。
日常の説明では「改正労働施策総合推進法によるカスハラ防止措置義務」と書くと、制度の所在が伝わります。法令の正式名称が長いため、最初に正式名称と通称の関係を示し、その後は「改正法」または「カスハラ対策」と略す方法が読みやすいでしょう。
- カスハラ防止法は一般に使われる通称
- 措置義務の本体は改正後の労働施策総合推進法
- 一括改正法の公布日は2025年6月11日
法律が企業へ求める中心事項
改正後の法律は、職場における顧客等の言動が社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害することがないよう、相談対応体制その他の雇用管理上必要な措置を事業主へ求めます。単なる標語の掲示だけを求める制度ではありません。
また、労働者が相談したことや事実確認に協力したことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めます。他の事業主から事実確認への協力を求められた場合の協力や、顧客を含む関係者の理解促進についても規定されています。
- 相談に応じ適切に対応できる体制を整える
- 相談者や確認協力者への不利益取扱いを禁止する
- 顧客に新しい刑罰を科すための法律ではない
文書ごとの推奨表記
一般向けの見出しでは検索されやすい「カスハラ防止法」を使い、本文冒頭で「通称」と注記する方法があります。社内方針では「労働施策総合推進法および厚生労働省指針に基づく」と記載し、施行日と版の基準日も付すと改定管理がしやすくなります。
「カスハラ防止法によりクレームは禁止された」といった表現は制度の内容を正しく表しません。保護対象は労働者の就業環境であり、正当な苦情や消費者の権利を否定するものではありません。法律名だけでなく、何を義務付ける改正なのかまで一文で説明しましょう。
- 初出で通称であることを示す
- 法的根拠が必要な文書では正式な法律名を記載する
- 施行日と資料の更新基準日を併記する
実務例:就業規則の付属方針を作る場合
会社が社内文書を「カスハラ防止法対応規程」と題する場合、冒頭に、通称であること、改正後の労働施策総合推進法と厚生労働省指針に基づくこと、2026年10月1日から適用することを記載します。本文では顧客の意見を一律に拒むのではなく、相談経路、現場から管理職への引継ぎ、事実確認、被害者への配慮を定めます。名称だけで適法性が決まるのではなく、実際に必要な措置が運用されることが大切です。
実務チェックリスト
- カスハラ防止法を正式法名と誤記していない
- 改正労働施策総合推進法との関係を説明した
- 2026年10月1日の施行日を示した
- 正当な苦情を禁止する表現を避けた
よくある質問
社内規程の名称に「カスハラ防止法対応」と書いてはいけませんか?
通称として使うことはできます。ただし、本文で改正後の労働施策総合推進法に基づく制度であることを明らかにし、2026年10月1日施行と示すと正確です。名称だけで対応済みとはならないため、指針が求める方針、相談体制、発生時対応なども具体化してください。文書の基準日も記載すると改定管理が明確になります。
公式資料
- 厚生労働省「改正労働施策総合推進法等の概要」
- 厚生労働省告示第51号「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
- 厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(2026年4月24日)
本記事は公開日時点の公的資料をもとにした一般的な情報です。個別事案の法的判断は、弁護士・社会保険労務士などの専門家や関係機関へご相談ください。
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