認知行動療法の考え方|従業員のストレス対策・セルフケア支援に活かすには

認知行動療法とは、出来事のとらえ方(認知)に目を向け、ネガティブになりがちな考え方を、より現実的でバランスの取れた考え方へと整えていく心理療法です。職場のストレスマネジメントやセルフケア研修でも、その考え方が取り入れられることがあります。人事・管理職が基本的な考え方を理解しておくことは、従業員のストレス対策やセルフケア支援に役立ちます。なお、効果には個人差があり、本記事は一般的な情報の紹介です。

考え方の「クセ」は見直せる

私たちはストレスを感じると、どうしても物事を悪い方向へ考えてしまいがちです。これは自然な反応ですが、この考え方のクセを少しずつ整えていくことで、心が軽くなることがあります。従業員のストレス対策を考えるうえでも、知っておきたい視点です。

「性格は変わらない」という人もいますが、性格を「考え方や出来事の受け止め方のクセ」ととらえ直せば、「それなら見直せる余地があるかもしれない」と思え、気持ちが少し軽くなるのではないでしょうか。

私たちは誰でも、自分が置かれている状況を主観的に判断しています。普段はそれで問題なく適応できていますが、強いストレスがかかると、考え方や受け取り方に歪みや偏りが出てくることがあります。「自分はどうせ何をやってもダメだ」「次もきっと悪いことが起きる」——こうしたマイナス思考に偏ってしまうのです。職場でこうした思考に陥っている従業員に気づくことも、早期対応の助けになります。

認知行動療法ではどう進めるのか

認知行動療法では、つらいと感じている人に対して、そのときパッと頭に浮かんだ考えに目を向けていきます。出来事に対して必要以上に歪んだり偏ったりした考え方が続くと、気分の落ち込みから回復しにくくなることがあるためです。

悩みを抱える人の話を十分に聞いたうえで、何が問題になっているのか、その人の長所や強みはどこにあるのかを把握し、一人ひとりを大切にする姿勢で進めていきます。今までの考え方や生き方を否定するのではなく、「今までとは違う考え方もできる」という気づきを得てもらうことが目的です。この「相手の話を聞き、強みに目を向ける」という姿勢は、管理職が部下とかかわるうえでも参考になります。

たとえば嫌なことがあったら、まず気分転換をする。あるいは誰かに「こんなことがあってつらかった」と気持ちを聞いてもらう。そのうえで、「この問題を軽くする方法はないか」と考えてみる——こうした小さな工夫を重ねることが大切です。職場でも、従業員が気軽に相談できる環境や、気分転換しやすい休憩のとり方を整えることが、ストレスの軽減につながります。

セルフケアや支援に活かすには

認知行動療法は、考え方や行動の選択肢を増やしていくことで、「いつの間にか心のモヤモヤが減っていた」と感じられるよう手助けする心理療法です。一般に、次のような特徴があるとされています。

  • 考え方や受け取り方のクセを整えることで、ストレスへの対処力を高めることが期待できる
  • 即効性はないものの、継続することで一定の効果が期待できるとされている
  • 再発の予防にもつながると考えられている

心のつらさや悩みを軽くしていく方法は、ほかにもさまざまにあります。人事・管理職としては、こうした考え方をセルフケア研修や日ごろのコミュニケーションに活かしつつ、専門的な対応が必要な従業員には、産業医や外部のカウンセリング窓口、医療機関につなぐことが大切です。どの方法が合うかは人によって異なるため、本人の状況に応じた支援を心がけましょう。