不安を抱える従業員をどう支えるか|成功体験を積み重ねる職場づくり

仕事の場面では、新しい業務や人前での発表、大きなプロジェクトなどを前に、強い不安を感じる従業員がいます。喉が渇く、手足が震える、おなかが痛くなる——こうした体の変化によって、人は自分が不安を抱えていることに気づきます。どこに不調が出やすいかは人それぞれで、不安を感じ取る「センサー」の鋭さにも個人差があります。本記事では、従業員が抱える不安との付き合い方を整理し、人事・管理職がどう支援できるかを解説します。

ちょっとしたことで不安を感じやすい人は、このセンサーが敏感ともいえます。不安を抱えやすいことは、必ずしも悪いことばかりではありません。不安は、危険やリスクが近づいていることを知らせてくれる大切な役割も持っているのです。職場では、不安を感じやすい従業員を「気が弱い」と決めつけず、その特性を理解して関わることが大切です。

不安は「取り除く」のではなく「コントロールする」

不安を完全に取り除いてしまうと、危険が迫っていても気づけなくなってしまいます。不安は、取り除くのではなく上手にコントロールすることを目指すという考え方を、従業員にも共有するとよいでしょう。

たとえば、面と向かって言われる指摘より、誰が言っているか分からない曖昧な評価のほうが、不気味で恐ろしく感じられないでしょうか。これは、目に見えないもの・正体のわからないものほど、コントロールできないと感じて恐れが大きくなるためです。職場でも、評価基準や役割が曖昧だと従業員の不安は大きくなります。管理職が期待や評価の基準を明確に伝えることは、それ自体が従業員の不安を和らげる支援になります。

不安を抱えた従業員には、漠然と恐れるのではなく、「自分は何を恐れているのか」を明確にするよう促すことが第一歩です。恐れの対象がはっきりしたら、自分で対処できるかどうかを一緒に考えます。自分だけで対処できない場合は、業務の調整、上司への相談、社内外の相談窓口の利用といった選択肢があることを伝えましょう。

不安を「小分け」にして、成功体験を積み重ねられるよう支える

従業員が自分で対処できそうな場合は、どこまでならできるかを考えるために、不安の対象を小さく分けてみるよう促しましょう。大きな不安も、小分けにすれば一つひとつは小さくなり、コントロールしやすくなります。管理職としては、大きな業務をいきなり一人で任せるのではなく、できる範囲から段階的に任せることで、従業員が「できた」という経験を積みやすくなります。

不安を和らげる助けとなるのが、成功体験を何度も積み重ねることです。「自分は乗り越えられた」という経験を重ねるほど、それが自信となり、同じような場面でも過度に不安を抱えにくくなっていきます。上司が小さな達成をきちんと認めて言葉にすることは、従業員の自信と安心感を育てる重要な支援です。

ここでご紹介したのは、不安との付き合い方についての一般的な考え方です。従業員の不安が強く、業務や日常生活に支障が出ている場合は、本人だけで抱え込ませず、産業医や医療機関、カウンセリングなどの専門家への相談につなぐことが大切です。