悩みを抱えた従業員の「相談相手」選び――人事が整えるべき相談体制

従業員が仕事や人間関係の悩みを抱えたとき、誰に相談するかによって、その後の状況は大きく変わります。相談相手を誤れば、かえって不調が深まったり、職場での孤立を招いたりすることもあります。人事・労務担当者には、従業員が安心して相談できる仕組みを整えることが求められます。本記事では、従業員の悩みに対して「相談相手の選び方」という観点から、人事・管理職が押さえておきたいポイントを整理します。

悩みを抱えた従業員に「無理をさせない」

不調のサインが見え始めた従業員に対して、まず避けたいのが、本人の状態を考えずに通常どおりの業務や出社を強いることです。安心して働ける環境が整わないうちに無理を重ねさせると、状況をかえって悪化させてしまうことがあります。

たとえば、ハラスメントや過重労働が背景にある場合、環境を整えないまま「気合いで乗り切ろう」と促せば、原因はそのまま残り、不調がさらに深刻になりかねません。まずは管理職や人事が、不調の背景にある要因を取り除く環境づくりに取り組むことが先決です。

何らかの原因があって不調が生じているのですから、周囲がその要因を探り、業務量の調整や配置転換、休養といった選択肢を本人に提示することが大切です。どの選択肢を取るかは最終的に本人が決めることであり、一方的に押しつけると信頼関係を損なうおそれがあります。

相談相手は慎重に選ぶ

従業員にとって、直属の上司や同僚は最も身近な相談相手です。しかし、職場内の身近な相手にだけ相談が集中すると、いくつかのリスクが生じます。相談を受けた側との信頼が損なわれたときのショックが大きいこと、そして相談内容が当事者間に広がってしまう懸念があることです。

たとえばハラスメントが背景にある悩みでは、加害者と近い立場の人に相談したことで、相談者がさらに不利な立場に置かれてしまうおそれもあります。職場の人間関係に近い相手への相談だけに頼る状態は、慎重に考えたほうがよい場合があります。だからこそ、職場の上下関係から離れて相談できる窓口を、会社としてあらかじめ用意しておくことが重要です。

専門家・外部相談窓口への接続を整える

従業員の悩みを受け止める相手としてふさわしいのが、産業医・産業保健スタッフ・臨床心理士などの専門家です。社内の人間関係から独立した立場で、守秘義務のもとに相談を受けられることが、専門家に相談する大きな利点です。人事・労務担当者は、こうした専門家への相談経路を整え、従業員にわかりやすく案内する役割を担います。

窓口を用意するだけでなく、「どんなときに、どこへ相談できるのか」を周知し、相談したことで不利益を受けない(不利益取扱いの禁止)と明確に伝えることも欠かせません。相談したことが評価や処遇に響くのではないかという不安があると、従業員は窓口を使えません。安心して相談できる土台づくりまでが、会社の務めです。

相談の手段は、メールやチャットといったテキストでのやり取りから始めても構いません。ただし、文字だけでは相手の状態を正確に読み取るのが難しいため、必要に応じて対面やオンライン面談に切り替えられる体制があると、本人にとっても会社にとっても安心です。社内の窓口だけで抱えきれないと感じたときは、地域の産業保健総合支援センターや外部のEAP(従業員支援プログラム)など、外部資源につなぐ判断も大切です。

「気軽な入り口」を組織として用意する

従業員が悩みを一人で抱え込まないためには、「相談してよい」と思える入り口を、複数用意しておくことが効果的です。KIRIHAREのAIカウンセリングは、従業員がいつでも気軽に話を切り出せる入り口として活用でき、深刻な相談は専門家や社内窓口へとつなぐ橋渡しの役割を果たします。相談相手選びに迷う従業員を、早い段階で適切な支援へ導く仕組みづくりにお役立てください。

従業員のメンタルヘルス対策や相談体制の整備でお困りの際は、お問い合わせ・資料請求よりお気軽にご相談ください。無料デモのご案内も承っております。