発達障害の人にはカウンセリングが有効

職場には、発達障害の特性を持つ従業員が在籍していることがあります。特性として、コミュニケーションが苦手であったり、特定の場面で困りごとが生じやすかったりすることがあり、本人も周囲も「なぜうまくいかないのか」がわからず戸惑うことが少なくありません。本記事では、発達特性のある従業員を職場でどう理解し、支援していけばよいか、人事・管理職の視点から整理します。

なお、ここでお伝えする内容は一般的な情報であり、診断や支援の方針は人によって大きく異なります。本人が困りごとを抱えている場合は、産業医や専門の相談機関につなげることが大切です。

職場で気づかれにくい発達特性

発達障害は、子どものころから特性として現れている場合もあれば、大人になるまで気づかれないまま過ごしている場合もあります。後者は「大人の発達障害」と呼ばれることもあります。特性に気づかれないまま働いていると、対人関係でうまくコミュニケーションがとれず、誤解されたり孤立感を抱えたりして、悩みを一人で抱え込みやすくなります。職場で「指示がうまく伝わらない」「特定の業務でつまずく」といった状況が続く場合、その背景に発達特性があることもあります。

カウンセリングや相談が役立つ理由

発達特性そのものを「治す」という考え方ではなく、本人が困りごとと向き合い、働きやすくしていくための支援として、カウンセリングや相談が役立つことがあります。対話を通して気になっていることを言葉にし、その人のペースに寄り添いながら整理していく場になります。

具体的には、次のような関わりが期待できます。

  • これまで話せなかったこと、話したかったことを、安心して話せる場になる
  • どんな場面でコミュニケーションや業務に困りやすいのかを、一緒に整理する
  • うまくいかないときも、どこに難しさがあるのかを丁寧に見ていく
  • 本人に合った仕事の進め方や対処の工夫を、少しずつ一緒に考えていく

コミュニケーションがうまくいかない背景には、その人なりの理由があります。発達特性がある場合、本人自身も「なぜうまくいかないのか」がわからず戸惑っていることが少なくありません。相談の場は、そうした困りごとを少しずつ整理し、職場で働き続けるための支えになります。社内の相談窓口やEAP(従業員支援プログラム)を整えておくと、従業員が早めに相談につながりやすくなります。

職場全体の理解と環境づくり

相談やカウンセリングは発達特性のある従業員にとって有効な支援の一つですが、それだけで完結するものではありません。家庭や職場など、本人を取り巻く環境の理解も大切です。頭ごなしに叱責するのではなく、指示は具体的に伝える、業務手順を見える化する、得意な業務を活かせるよう配置を工夫するなど、職場側の環境調整が本人の力を引き出します。

近年は「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」の観点から、発達特性を個性として活かし、多様な人材が働ける職場づくりを進める企業も増えています。本人が安心して過ごせる環境を整え、困りごとがある場合は産業医や専門窓口につなげられる体制を、人事・管理職として用意しておきましょう。

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