従業員のうつ病、回復と復職を人事・管理職はどう支えるか

うつ病からの回復は、しばしば「完治」ではなく「寛解(かんかい)」という言葉で表現されます。寛解とは、「完全に治ったとは言い切れないものの、症状は今のところ落ち着いており、穏やかに日常生活を送れている状態」を指す表現です。

休職中の従業員や、復職を控えた従業員を支える立場にある人事・管理職にとって、「うつ病は一生付き合わなければならないのか」「いつ職場に戻れるのか」という回復の見通しは、対応を考えるうえで気になるところだと思います。本記事では、うつ病の回復について一般的にいわれていることを整理し、職場としてどのように関わればよいかを解説します。

なお、本記事は一般的な情報の紹介であり、診断や治療に代わるものではありません。回復の見通しや治療方針、復職の可否は一人ひとり大きく異なります。職場での対応は、必ず本人の主治医や産業医の判断にもとづいて進めてください。

回復までの期間には大きな個人差がある

うつ病は、適切な治療やサポートによって回復が期待できる病気だとされています。ただし、一般的な身体の病気のように「この処置をすれば数週間で良くなる」「手術をすれば半年で元に戻る」といった予測を立てにくいのが特徴です。寛解までにかかる時間は、本当に人それぞれです。

このことは、復職支援を進めるうえでも重要なポイントです。「同じ期間休んだ別の従業員はもう戻れた」といった比較は本人の負担になりかねません。回復のペースに違いがあるのは自然なことであり、本人の努力不足では決してないという前提で関わることが大切です。人事・管理職としては、復職時期を一律のスケジュールで区切らず、主治医・産業医の見立てに沿って柔軟に調整する姿勢が求められます。

焦らせず、回復を支える職場のかかわり

うつ病からの回復には、医療機関での治療や十分な休養が土台として欠かせません。そのうえで、回復を支える要素のひとつとして、本人が「今の自分の状態を客観的に受け止める」姿勢が役立つことがあるといわれています。職場としては、本人が焦らずに療養に専念できる環境を整えることが、この姿勢を後押しします。

具体的には、休職中の連絡は本人の負担にならない頻度・方法にとどめる、復職に向けては短時間勤務や業務量の段階的な調整(リハビリ出社・リワークプログラムの活用など)を検討する、戻ってきた本人に過度な期待や「もう大丈夫だよね」というプレッシャーをかけない、といった配慮が挙げられます。「心身ともにつらい」と話していた方が、時間をかけて回復し、復職や新たな一歩を踏み出すこともあります。職場の側がそのプロセスを急がせないことが、再発防止にもつながります。

本人を「ひとりにしない」体制をつくる

従業員が「明日のことさえ考えられない」「消えてしまいたい」といった強いつらさを抱えているサインに気づいたときは、けっして本人ひとりに抱え込ませないことが重要です。産業医や主治医、各自治体の相談窓口、社内外のEAP(従業員支援プログラム)など、信頼できる支援先につなぐことが、回復への大切な一歩になります。

人事・管理職としては、こうした相談先を日頃から従業員に周知し、いざというときにすぐ支援につながる体制を整えておくことが役割です。本人が安心して相談できる窓口があること、休職や復職の制度が整っていることを知らせておくだけでも、従業員の心理的な安心感は大きく変わります。