トラブルの多い職員への対応
このテーマについては、悩んでいる管理職の方が多いのではないでしょうか。『採用』の段階では気づくことができず、『仮任用』などの期間も比較的問題なく経過していたのに、経験を重ねるにつれて課題が増えていくように見受けられる従業員——おそらくどの管理職の方も、一度は経験されていることかと思います。
個人情報に配慮し、少し脚色したうえで、筆者の経験をお話しします。
熱心さがエスカレートしていった保育士の例
筆者の職場は保育関係です。職員は全員が国家資格と教員免許を持ち、実習なども経て資格を取得しています。成績評価などを見れば、ある程度はわかりやすい採用状況にあるといえます。
その職員は、採用当初から熱心な指導が見られました。ところが時がたつにつれて熱心さが行きすぎ、子どもたちがついていけない様子が見られるようになります。発表会や運動会ともなるとさらにエスカレートし、指導時の言葉遣いの粗さや、物に当たる様子が目立つようになり、主任保育士などからも「助言を聞き入れない」という話が聞こえてきました。
面談をすると、その時は反省し、しばらくは改善が見られます。けれども、また行事などの場面になると同様の様子が見られ、子どもたちの中には先生を怖がる子も出てきました。
難しいのは、客観的に見た場合、とくに私たち自身が「子どもの保護者だった場合」、こうした先生について何と言うだろうか、という点です。保護者の立場なら『あの先生は何とかならないんですか?』『不適格だと思うんですけど』と言うかもしれません。実際にそう言われれば、この職員の指導事項として扱うことができます。しかし、それは組織全体に対する影響がとても大きいのです。
ですから管理職としては、利用者から言われるのを待っているわけにはいきません。むしろ『保護者から苦情が来ないように』この職員を指導し、子どもたちの日常の生活を守る対応をとります。
退職後に労働基準監督署から申し出が
ただ、この事例の場合、結果的にはやはり保護者からの苦情が出る事態となり、その都度この職員と面談を重ね、最終的には本人が退職を選択して職場を去っていきました。
ところが、それから数か月後、労働基準監督署から『不当に解雇された』という職員からの申し出があった、というお知らせがありました。
法人側としては「解雇」にすることもできる状態でしたが、この従業員の将来を考えて「退職」とし、退職金も支払い、「何が問題だったか」「どんな苦情が来ているか」についても伝えていました。労基署にもそうした経緯をお伝えしましたが、労基署はあくまで「労働者の権利」を重視するため、思いのほか時間を要しました。
結果的には、具体的な事例が積み重なっていたため、おとがめはありませんでした。しかし、『採用』という段階で従業員の資質や適性を考えることの重要性を、あらためて意識させられた例でした。
入口の課題としての「採用」
幸い、それ以降はこうした事例はありません。私たちはそもそも、ユーザーやお客様からの苦情を望んでいません。商品やサービスの内容に関する提案や苦情は参考になりますが、職員の適性や職務執行に関する苦情は、業務のなかではどうしてもネガティブに感じられます。
そうしたことが発生しないように職員教育を行いますが、それでも防ぎきれない場合もあります。トラブルが多発する職員が在籍していると、管理側も組織も疲弊してしまうものです。
入社後の社員教育はもちろん大切ですが、期待する人材をどのように確保するか、ということも、やはり入口の課題として大切です。
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