『関わりにくい』と感じる職員関係を良好にする方法

『ハラスメント対応』の義務化などに伴い、職員一人ひとりとの関わり方に神経を使う方も少なくないでしょう。とくに管理職の方は、ちょっとした指導や注意が「パワハラ」と受け取られてしまうのではないか、関わりにくいと感じる職員にどう対応すればよいかなどで悩まれることもあるかもしれません。

今回は、法人経営者であり、公認心理師・臨床心理士・キャリアコンサルタントでもある筆者が、『関わりにくいと感じる職員関係を良好にする方法』についてお話しします。

◆この記事はこんな方におすすめです

  • 『人による感じ方の違い』への対応のコツを知りたい
  • 『腫れ物に触るような』職場関係に心当たりがある
  • 『苦手だな』と思う人を味方につけるコツを知りたい

「この人はどんな人か」という見方

筆者が運営する福祉法人は、比較的女性が多い職場です。筆者は男性ですが、いまは「男性だから」「女性だから」というより、『個々にどんな人か』という見方が必要だと感じています。

ハラスメント対応の根本に置くとよいと思う考え方は、『この人はどんな人か』という人の見方です。職場においては、出身・経歴・性別・信条など、ステレオタイプを生みやすいカテゴリー分けはいったん脇に置いておく。これができるようになると、ハラスメントはかなり回避できます。

とはいえ、そうして「個々の人間」として見た場合でも、「人間だからこそ」の部分は出てきます。これは乳幼児期から見られることで、性格が形成される前の『気質』の段階から、仲良く遊ぶ子・あまり近づかない子という区別が見えたりするものです。

ましてや大人になれば、それぞれに人生を歩んできていますから、考え方や感じ方が違うのは当然です。ですから、『私が気になったからそれはハラスメントです』というような極端なものではないにしても、「この人がどう感じているのか」については、ほとんどブラックボックスといってもいいでしょう。とくに『どうも合わない』『なんだか波長が違う』と感じる相手であれば、なおさらです。

学校や会社組織、そもそも人間社会は、こうした多様性のもとで協調していくことが求められます。「国と国」という大きな単位でさえもめているのですから、「人と人」という細かな単位でもめ事がないわけがありません。

もめ事にならないためのポイント

心理職として、多様な悩みを抱える方や、さまざまな問題を抱える組織、病気に困っている方などと20年以上関わってきました。そうしたなかで、もめ事にならないポイントが、いつの間にか身についた気がしています。簡単にまとめると、次のようなことでしょう。

  • 自分なりの大義・正義・仁義・礼儀を持ちつつ、人や組織に同じものを求めない
  • 自分なりの「欲求のコントロール方法」を知る
  • 「すぐ」「早く」は自分ではするが、他者に同じことを求めない
  • 「すごい」「えらい」「優秀」というものは、あくまでも他者が決めてくれるもの
  • 以上がうまくいかないときは、「自分の使い方」に課題がある

実をいうと、『合わない人』はもちろん筆者にもいます。正確には「いました」ですね。筆者から見ると、その人は小さなことですぐ不機嫌になって態度に出し、周囲に嫌な雰囲気を与えやすく、言っていることは正論なのに行動が伴わず、自分のことはさておいて他者を指摘する——そんな特性があるように思われました。

ただ、こうした場合でも「こういう人だとあきらめる」ことは個人的にはしません。とはいえ、ネガティブな点を直そうとすると個人に立ち入ることになり、昨今のハラスメントの観点からも微妙に引っかかってきそうです。

合わせられるチャンネルを見つける

今回覚えていただきたいポイントは、『合わせられるチャンネルを見つける』という関わり方です。よく『苦手な人』のご機嫌をとろうとする方がいますが、そうした行動は関係改善にはつながりません。

先ほどの職員の場合、『正論を言う』という部分は、筆者にとって共感できるところでした。たとえば、こんなことがありました。

「災害時の避難のときに、いまある持ち出しかばんは重いので変えてほしいです」。何の前触れもなく、突然こういう感じの棒読みで言ってくるわけです。

こちらとしては、「えっ、なぜ今? しかも重いといっても、先日買ったものだよね?」と感じます。ただ、「波長が違う」相手ですから、どうしてそう感じたのかをその人なりに聞いてみると、「なるほど」とまではいかなくても、「うん、まあ、そういえなくはないけど……」という程度までは理解できることがあります。

では、すぐに応じるかというと、そういうわけではありません。こういうときに使うのが『YES AND』という方法です。

『なるほど、そういう考え方はいいですね。それなら、さらに〜』と、こちらとしての「正論」をくっつけます。今回の場合なら、次のように返します。

「なるほど、確かに軽いほうがよさそうですね。そうしたら、この予算のなかで収まる方法と、いま入れてある『モノ』自体の要・不要を、実際に合わせながら検討してもらってもいいですか」

『合わないなあ……』『またそう来たか……』とは思ってしまうものの、「YES AND」を繰り返していくと、かなり話ができるようになり、関係性も変わってきます。まずは2か月ほど、苦手な方に試してみてください。

KIRIHARE所属 臨床心理士

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