目標設定とつまずきの支援|従業員を燃え尽きさせない管理職の関わり方
新しい挑戦には、思いどおりにいかない結果がつきものです。難易度の高い目標に挑めば未達も生まれ、初めての業務には失敗も伴います。だからといって挑戦のない職場がよいわけではありません。従業員が前向きに目標へ向かい、つまずいても立ち直って再び挑戦できる――そんな環境をどうつくるかは、人事・管理職にとって重要なテーマです。本記事では、目標設定と従業員の心の負担という観点から、管理職が知っておきたい関わり方を解説します。
従業員が目標を前向きに語れなくなる背景
キャリアの初期には意欲的に目標を語っていた従業員が、年次を重ねるうちに目標を口にしなくなることがあります。これは意欲の低下とは限りません。目標達成には努力や実力が必要で、過去に未達を経験したり、達成できなかったときの評価への不安を抱えたりするうちに、慎重になっていくためです。管理職は、目標を語らなくなった従業員を一律に「やる気がない」と決めつけず、その背景に目を向けることが大切です。
「届きそうな目標」ほど未達のダメージが大きい
目標との向き合い方には、見落とされやすい一面があります。あまりにも高い目標は「達成できなくても仕方ない」と思えるため、未達でも落ち込みにくいものです。一方で、「これなら達成できそう」と本人が感じていた身近な目標が達成できなかったときのほうが、「どうしてできなかったのか」と強く落ち込みやすい傾向があります。管理職が目標を設定する際は、高すぎる目標も、本人にとって失敗のダメージが大きい目標も、ともに心の負担になり得ることを意識する必要があります。
とくに、多くの同僚が同じ目標に向かう状況では、達成できなかったときに「どうして自分だけ」と感じやすくなります。チーム全体で目標を公言する文化は士気を高める反面、未達者が人目を気にして必要以上に追い詰められるリスクもあります。本人のペースで無理なく取り組める形を選択肢として用意することも、従業員の心を守る一つの方法です。
達成すること自体がゴールではない
目標を達成したあとにも、新たな現実が待っています。たとえば昇進や大きなプロジェクトの成功の後には、増えた責任や新たな課題に直面することがあります。管理職としては、目標達成を一時のゴールとして扱うのではなく、達成後のフォローや次のステップへの支援まで含めて関わることで、従業員が燃え尽きずに歩み続けられるよう支えられます。
「一歩ずつの前進」を可視化して支える
目標があまりに高く遠く感じられると、従業員は不安に陥りやすくなります。現実の業務は一足飛びには進まず、一歩ずつ積み重ねていくものです。管理職は、最終目標だけを示すのではなく、達成までの道のりを小さなステップに分け、一つひとつの前進を認めていく関わりが効果的です。
困難に直面したとき、従業員が「ここまで着実に前進してきた」と振り返れる足跡があれば、それは再び前へ進む力になります。1on1や定期面談で過去の成長を一緒に振り返り、本人が自分の積み重ねを実感できるようにすることは、モチベーションの維持に役立ちます。大きな目標に押しつぶされそうな従業員には、目の前の小さな一歩に目を向けられるよう支えてあげてください。
もし従業員が目標へのプレッシャーや度重なる未達によって明らかに疲弊し、一人で抱えきれない様子が見られる場合は、管理職だけで対応しようとせず、人事部門や産業保健スタッフ、外部の相談窓口につなぐことを検討しましょう。早めに相談できる環境を整えておくことが、深刻化を防ぐうえで重要です。
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