職場のメンタルヘルス体制における心理カウンセラー・EAPの役割

働き方改革によって働き方そのものは変わってきていますが、現代でも職場でのパワハラやセクハラはなくなっていません。また、スマートフォンやSNSなど情報ツールが増えたことで、従業員が抱えるストレスの要因はさまざまな形で増えています。こうした「ストレス社会」のなかで、従業員の心のケア体制をどう整えるかは、人事にとって重要な課題です。本記事では、人事・管理職の方に向けて、職場のメンタルヘルス体制における心理カウンセラーの役割と、その活用の意義について解説します。

心理カウンセラーの役割

心理カウンセラーとは、ストレスや悩みを抱えた相談者と向き合い、相談者の置かれている状況・環境・心理状態を理解したうえで、カウンセリングや心理検査などを通じて、悩みや問題の解決を支援する専門職です。相手の話にじっくり耳を傾ける、「聴く」ことの専門家とも言えます。

従業員が抱える悩みの状況はさまざまです。医療的なケアが必要な場合もあれば、話を整理することで解決に向かう悩みもあります。状態によっては精神科や心療内科など専門医による治療が必要となることもありますが、安心して悩みを話せる場があること自体が、不調の深刻化を防ぐ大きな支えになります。職場に相談できる窓口がない場合、従業員は不調を一人で抱え込み、結果として休職や離職に至ってしまうことも少なくありません。

心理療法とカウンセリング

幅広い相談に対応するため、心理カウンセラーは主に「心理療法」と「カウンセリング」に取り組みます。

  • 心理療法:精神分析や行動療法などさまざまな手法があり、臨床心理士などの専門職が担うこともあります。
  • カウンセリング:傾聴や対話を通して、本人の回復を後押しするアプローチです。職場の人間関係や仕事と私生活のかかわりなど、日常的な悩みを取り扱うことが多いのが特徴です。

職場でカウンセリング体制を整える意義

かつて心理カウンセラーは学校や医療機関で活躍する存在というイメージが強くありましたが、現在では企業に常駐したり、EAP(従業員支援プログラム)を通じて社外から従業員を支援したりと、職場のメンタルヘルスを支える役割が広がっています。

企業が心理カウンセラーへの相談ルートを整えることには、次のような意義があります。

  • 不調の早期発見・早期対応……深刻化する前に専門家が関わることで、休職や離職のリスクを下げられます。
  • 相談のハードルを下げる……社内の上司には言いにくい悩みも、第三者であるカウンセラーには相談しやすくなります。
  • ハラスメント対策……パワハラ・セクハラの相談窓口として、客観的な立場で事実を整理し、人事の対応につなげます。
  • 職場環境の改善……相談の傾向から、業務量や人間関係などの課題が見え、職場改善のヒントが得られます。

これからの職場に必要とされる存在

ストレスにまつわる問題を多く抱える現代の職場では、心の問題の解決を支える心理カウンセラーの役割が、ますます重要になっています。SNSやインターネットの発展で業務は便利になった一方、対応すべきことが増えてストレスがかかりやすい時代でもあります。従業員が安心して相談できる体制を整えることは、健全な職場づくりと健康経営の土台となります。社内に専門人材を確保するのが難しい場合は、外部のEAPサービスを活用するのも有効な選択肢です。

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