従業員の躁うつ病(双極性障害)に人事・管理職はどう気づき支援するか
従業員のなかに、躁うつ病(双極性障害)と向き合いながら働いている方がいることは、決して珍しくありません。気分が高ぶって活動的になる「躁状態」と、気分が沈んで思考が鈍くなる「うつ状態」が繰り返し現れるとされる状態で、本人も周囲も対応に戸惑いやすいものです。本記事では、人事・管理職が職場でどのように気づき、どう支援していけばよいかという観点から、一般的に知られている特徴と対応の考え方を整理します。なお、診断や治療は医療機関の領域であり、症状や対応は個人差が大きいため、最終的な判断は産業医や主治医に委ねることが前提となります。
「うつ状態」として現れることが多く、気づきにくい
双極性障害のある方が、最初から「躁うつ病」と分かることはまれだといわれています。多くの場合、まず「うつ状態」として不調が表面化し、その後に気分が高揚する躁状態がみられて、初めて双極性障害と分かることが少なくありません。職場では「最近元気がない」「ミスが増えた」といったうつ状態のサインが先に見えることが多いと考えておくとよいでしょう。
一方で、躁状態のときは本人が「調子が良い」と感じていることが多く、自ら不調を訴えることはまれです。過度な発言や行動、衝動的な判断などによって、むしろ周囲が先に異変に気づくことがほとんどだとされています。人事・管理職としては、「元気すぎる」「言動が普段と違う」状態も、不調のサインになり得ると理解しておくことが大切です。
職場で気をつけたい「波」への向き合い方
双極性障害は、気分の波が大きいことが特徴とされています。職場で支援する立場としては、本人の言動を「やる気がない」「気分屋だ」と人格や態度の問題として捉えるのではなく、体調の波として理解する姿勢が求められます。とくに躁状態のときに本人が大きな決断(退職・異動の申し出など)をしようとしている場合は、いったん落ち着いてから改めて話し合えるよう、急がず受け止めることが望まれます。
具体的な治療や服薬は医療機関の領域であり、人事・管理職が踏み込む範囲ではありません。職場として担うのは、本人が安心して医療機関や産業医につながれるよう環境を整えること、そして本人の同意のもとで業務量や働き方を調整することです。本人を問い詰めたり、私生活に立ち入りすぎたりしないよう配慮しましょう。
大切なのは「生活リズム」を保ちやすい職場づくりと再発予防への配慮
双極性障害では、生活リズムを崩さないことが再発予防に重要だといわれています。職場としても、長時間労働や深夜・早朝にまたがる不規則な勤務をできるだけ避け、起床・就寝の時間が安定しやすい働き方を一緒に検討することが、本人の安定につながります。テレワークやフレックスを導入している場合も、生活リズムが乱れていないかをさりげなく気にかけるとよいでしょう。
また、症状が落ち着いてきたからといって、本人が一人で無理を抱え込まないよう、定期的に声をかけ、相談しやすい関係を保つことも人事・管理職の役割です。産業医面談や社外の相談窓口など、専門家につながる選択肢をあらかじめ案内しておくことで、調子を崩しかけたときに早めに支援へつなげることができます。本人・職場・専門家が連携しながら、無理のない働き方を支えていきましょう。
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