発達障害の特性がある従業員への人事・管理職の気づきと配慮
近年、発達障害の特性によって、職場で生きづらさや働きづらさを感じる成人が増えています。専門分野では高い力を発揮できるのに、人間関係やコミュニケーションの面で本人も周囲も悩んでいる、という事例は決して珍しくありません。本記事では、発達障害の特性を持つ従業員に対して、人事・管理職がどのように気づき、どう配慮・支援していけばよいかを整理します。
かつてメディアで「アスペルガー障害」と呼ばれていた状態は、現在の診断基準では自閉スペクトラム症に含めて捉えられています。職場でよく話題になる特性として、自閉スペクトラム症(ASD)やADHDの傾向が挙げられます。
職場で見られやすい特性を理解する
自閉スペクトラム症の傾向がある方の特徴としては、会話のやり取りが得意でなく、特に表情や言葉の行間から相手の意図を読み取ることが苦手とされています。ただし、特徴はあるものの個人差が大きいため、「この特性があるからこういう人だ」と一概に決めつけることはできません。職場では、悪意がないのに指示の意図が伝わりにくかったり、雑談や暗黙のルールの理解に時間がかかったりすることがあります。
こうした特性は、本人が「分かってもらえない」と孤立感を抱えたり、周囲が「なぜ伝わらないのか」と戸惑ったりする原因になりがちです。人事・管理職としては、本人の努力不足や態度の問題と捉えるのではなく、特性として理解したうえで、伝え方や働き方を調整する視点が大切になります。
人事・管理職にできる配慮と支援
特性のある従業員への配慮としては、指示を口頭だけでなく文書やチャットで明確に伝える、曖昧な表現を避けて具体的に依頼する、優先順位や締め切りをはっきり示す、といった工夫が有効とされています。本人が力を発揮しやすい業務を任せ、苦手な部分はチームで補い合える体制を整えることも、職場全体の生産性につながります。
本人が「客観的に診てもらいたい」と希望する場合や、職場で繰り返し困りごとが生じている場合は、産業医や社外の相談窓口、発達障害を専門とするクリニックや心理相談室につなぐことも一つの選択肢です。そうした専門家の支援を経て、本人が自分の特性を自覚し、職場や社会とのつながりに感じていた生きづらさが和らいだという事例も報告されています。なお、診断や治療方針は個人差が大きいため、本人の同意を得たうえで、まず専門の医療機関や産業医に相談する流れを整えておくとよいでしょう。
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