パワハラ相談を受けたら|人事・管理職が押さえる対応と事実確認の進め方
パワーハラスメント(パワハラ)は、職場で起こる代表的なハラスメントの一つです。従業員からパワハラの相談を受けたとき、人事・管理職には迅速かつ適切な対応が求められます。本記事では、パワハラの定義や種類を整理したうえで、相談を受けた人事・管理職がどう対応すべきかを解説します。
パワハラの3つの定義
職場のパワハラは、次の3つの要素をすべて満たすものとされています。
- 優越的な関係を背景とした行為:「断れば何をされるかわからない」「勤務評価に影響する」といった心理につけ込み、相手より高い立場を悪用すること。
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えた行為:個人的な金銭の貸借を強要したり、土下座を求めたりすることなど。
- 就業環境を害する行為:身体的・精神的な苦痛が継続して与えられ、受けている側が著しいつらさを感じていること。
パワハラの6つの種類
- 身体的な攻撃(殴る・蹴る・突き飛ばすなど)
- 精神的な攻撃(脅迫・侮辱・ひどい暴言など)
- 過大な要求(業務上明らかに達成不可能なノルマを課すなど)
- 過小な要求(程度の低い単調な作業を与え続けるなど)
- 人間関係からの切り離し(無視・隔離・仲間外れなど)
- 個の侵害(プライベートな内容に過剰に踏み込むなど)
相談を受けたときの基本対応
従業員からパワハラの相談を受けたら、人事・管理職はまず相談者の話を丁寧に聞き、安心して話せる場を確保します。相談を受けた段階での基本対応は次のとおりです。
- 傾聴とプライバシー保護:相談者を責めず、ありのままを受け止めます。相談したことで不利益が生じないことを明確に伝え、プライバシーを徹底して守ります。
- 事実関係の記録:「いつ、どこで、誰から、どのような行為を受けたか」を時系列で記録します。メール・録音・メモ・診断書など、客観的な証拠の有無も確認します。
- 被害者の安全確保:心身の負担が大きい場合は、加害者とされる人物との接触を一時的に避けられるよう、座席や業務分担の調整を検討します。
事実確認と組織としての対応
相談者の了承を得たうえで、関係者や加害者とされる人物への聞き取りを行い、公正に事実確認を進めます。確認できた事実にもとづき、次のような対応を段階的に検討します。
- 被害者へのケア(休暇の付与、配置転換、産業医・カウンセラーへの橋渡しなど)
- 加害者への対処(就業規則に則した指導・懲戒、再発防止の指導など)
- 必要に応じて、労働局の総合労働相談コーナーなど社外の専門機関とも連携する
個の侵害には、プライベートの誘いを断ったことを理由に業務上の不利益を生じさせるセクシュアルハラスメントや、人格を傷つけるモラルハラスメントが含まれます。「もう少し様子を見よう」と放置すると、被害が深刻化するおそれがあります。早期に対応することが、被害の拡大と組織のリスクを防ぎます。
本人のキャリアと健康を守る選択肢も
会社としてパワハラに対処する一方で、被害を受けた従業員の心身の健康とキャリアを守る視点も欠かせません。状況によっては、配置転換や部署異動によって本人が安心して働ける環境を整えることが解決策になります。職場全体の体質に課題がある場合には、根本的な環境改善に取り組むことが、従業員の離職を防ぎ、組織の信頼を守ることにつながります。
被害者が一人で抱え込んで離職に追い込まれることのないよう、相談しやすい窓口を整え、早期に支援につなぐ体制をつくることが、人事・管理職にとって何よりも重要です。
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