従業員のうつ症状に人事・管理職はどう気づき支援するか
うつ状態にある従業員は、朝の出社がつらくなったり、集中力が落ちたり、これまでできていた業務に時間がかかるようになったりと、職場での様子に変化が表れることがあります。人事・管理職にとって大切なのは、こうした変化を「やる気の問題」と捉えず、不調のサインかもしれないと気づき、適切に支援につなげることです。本記事では、メンタル不調を抱える従業員に対して、人事・管理職がどう気づき、どう声をかけ、どのような環境づくりで支援できるかを整理します。なお、本記事は医療行為や診断に代わるものではありません。
心と体の不調は職場の様子に表れる
心の調子と体の調子は密接に結びついているといわれています。緊張する場面で肩に力が入り、手が汗ばみ、心臓が高鳴る——こうした体の反応からもわかるように、心の状態は体に、体の状態は心に影響を与え合います。うつ状態が続いている従業員は、頭が重い、食欲がわかない、外出がおっくうといった身体面の不調を抱えていることが多く、その結果として遅刻・欠勤の増加、ミスの増加、口数の減少などが職場で見られるようになります。
「どうしても動けない」「気力がわかない」という状態は、本人の甘えや怠けではありません。管理職がこの前提を理解しているかどうかで、声のかけ方も支援のあり方も大きく変わります。
人事・管理職が気づくためのポイント
不調のサインは、本人も周囲も気づきにくいものです。日々の業務のなかで、次のような変化が複数かつ継続して見られる場合は、注意して見守る目安になります。
- 遅刻・早退・欠勤が増えてきた
- これまでこなせていた業務でミスや漏れが目立つようになった
- 表情が乏しく、口数が減り、周囲との会話を避けるようになった
- 身だしなみや席まわりに以前との違いが見られる
- 「疲れた」「眠れない」といった訴えが続いている
こうした変化に気づいたら、評価や叱責ではなく「最近、体調はどう?」「無理していないか心配している」といった、相手を気づかう声かけから入ることが大切です。本人が話しやすい場と時間を選び、批判せずに耳を傾ける姿勢が、最初の支援になります。
無理のない働き方を整える
体の緊張をゆっくりほぐすように、職場でも従業員が少しずつ立て直せる環境を整えることが回復の支えになります。人事・管理職ができる工夫として、次のようなものが考えられます。
- 業務量や納期を一時的に調整し、過重な負担を取り除く
- 短時間勤務や在宅勤務など、本人の状態に合わせた柔軟な勤務形態を検討する
- 休憩を取りやすい雰囲気をつくり、無理に頑張らせない
- 回復のペースには個人差があることを前提に、焦らせない
支援は一度に行うものではありません。本人の様子を見ながら、少しずつ調整していく姿勢が大切です。
専門の窓口・医療機関へつなぐ
管理職や人事ができるのは、あくまで気づき・声かけ・環境調整までです。気分の落ち込みが長く続く、日常生活や業務に明らかな支障が出ているといった場合は、産業医・社内外の相談窓口・EAP(従業員支援プログラム)・医療機関など、専門の支援につなぐことが重要です。「あなたを支える仕組みが社内にある」と伝えることが、従業員が一人で抱え込まずに済む大きな安心材料になります。人事・管理職は、こうした相談先をあらかじめ整備し、従業員にわかりやすく案内できるようにしておきましょう。
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