『好きな仕事、お金を稼ぐ仕事』
今回は、「仕事に対する従業員の意欲と態度」をテーマに、
法人経営者でもあり公認心理士、臨床心理士、
キャリアコンサルタントでもある筆者が、
「管理職として、従業員の働き方を、
どのように考えたらよいのか」について、お話しします。
▽こんな方は今回の内容に最適です。
・管理職の仕事に疲れている方
・会社での働き方に疑問を感じている方
・「仕事に対する意識がバラバラ」な組織にどう向き合うか悩んでいる方
会社、組織、という人の集まりは、なぜ必要なのか、
どんなお考えをもお持ちでしょう。
そして、従業員一人一人に、
このように質問したことがありますか?
『なぜ、会社はあるのでしょうか』
実は、この部分が、年代、性別などによらず、
非常にバラバラであることから、
いろいろな不協和音が出てくることがあります。
入社したての職員では
「安定した収入を得るには、会社に入る必要がある」
という考えもあるでしょう。
「会社としてのブランドが魅力」
「〇〇業の会社に入りたかった」
経営者としては、
「優秀な人材を集めて、収益を上げていくための集まりである」
「会社として社会に対する使命を果たすために集まっている」
こちらも、様々でしょう。
「こうでなければならぬ」
ということはありませんが、経営、管理側と従業員には
少なからずその意識、目的には
隔たりがあるのは仕方ないところです。
ただ、様々、多種多様であっても、明確なところは
『何らかの目的をもって
複数の人間が集まってできた集団である』
ということです。
では、そうした隔たりを感じながら、
どうやって組織として一貫性を持たせて、
『目的を達成していく集団』
にしていくか、ということです。
ここからは、個人的な例になりますが、
私が従業員と話す際には
「お金が欲しくて働いている職員」であっても
「仕事にやりがいを感じて業務にあたっている職員」
でも、どちらでもよいと考えています。
異なってくるのは、私自身の管理職としての「話し方」
「向き合う時の設定」でしょうか。
この点が、うまく調整できますと、採用の際にも
「この人は、仕事に対するやりがいを
あまり感じていないのでは・・・」
ということ自体は、それほど問題ではなくなります。
「仕事にやりがいを感じなくてもいい」
ということとは少し違うので、伝え方が難しいのですが、
現在の仕事というものは、人によって人生における位置づけが、
非常に多様です。
例えば、
『週末のキャンプに生きがいを感じていて、
仕事はキャンプ道具のお金を稼ぐためにやっている』
それはそれでも、仕事をしっかりやってもらえれば、
悪くはないのです。
『自分の人生は仕事一筋なので、娯楽なんて言うことより、
会社が発展することが第一』
これも、無しではないですが、
この方の人生が本当に豊かに一生になるか、
といわれると、心配もありそうです。
『自分の技術の向上は大切で、この会社で技術を高めて、
次に転職していきたい』
これも、時々あることで、悪いことではありません。
実際、こうした人たちが集まっているのが、会社組織です。
先日、お話をする機会があった法人の代表の方で、
「5年後に、ある地域の子会社を閉じる」
という判断をした方がいました。
努力はしたけれども、
どうにも採算が取れないところがあったためとのことです。
「社員さんたちには、どうやって説明したのですか」
と聞いたところ、こんな風に教えてくれました。
「みなさんの、これまでの努力や尽力には十分な感謝を伝える」
「5年間については、希望する方の雇用を守り、賃金、賞与は全額支払うと約束する」
「地域になくてはならない職場であるので、無念であるが、残ってもらえる人は
最後まで職務を全うしてほしい」
「次の職場を希望する方には全力でお手伝いする」
それで、不満はなかったのかうかがいましたが、
「この職場に愛着をもってやってくれている人にも、
お金のために働いてきた人たちにも、最大限の対応で、
5年後、という猶予もあるので、
それほど大きな動揺はなかった。
さまざまな価値観の方がいることだから、早めに、
こうした態度を表明しておくことがなにより必要で、
むしろ感謝する従業員の方もいた」
と話されていました。
もし、「経営を続けていく」という選択であっても、
実は、同じことでしょう。
「この組織を閉じるときに、
どんな態度で従業員の方に向かうのか」
ということを決めると、「今」の向き合い方も変わります。
従業員の方の「働き方の意識」の難しさはもちろん感じますが
私たちの側の「従業員の方に対する意識」を
一度とらえなおすことも必要かもしれません。
KIRIHARE所属 臨床心理士
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