近年、新型コロナウイルスの影響により、リモートワークの浸透など働き方が多様化しています。労働環境の変化に伴い、メンタルの不調を感じる人は増加傾向にあります。職場内のケアだけでは、複雑化したメンタルヘルスの問題に対して十分な対策を打つことが難しい状況です。そこで注目されているのがEAP(従業員支援プログラム)です。ここでは、EAPの導入のメリットや具体的な取り組みについて紹介していきます。EAPの導入をご検討中の方はぜひご一読ください。

EAP(従業員支援プログラム)とは

EAPは英語のEmployee Assistance Programの略称です。日本語では「従業員支援プログラム」とも呼ばれます。EAPとは、ストレスや悩み、不安などを抱えたメンタルヘルスに不調がある従業員を支援するプログラムのことです。

 

EAPは、厚生労働省が推奨するメンタルヘルス対策のうちの1つです。メンタルヘルス対策には、セルフケアや社内での対応など様々な立場からのアプローチがあります。そのうちEAPは、社外の専門機関を介したメンタルヘルスケアを指します。

 

EAPの歴史

もともとのEAPは、アルコール依存症の従業員のケアとしてアメリカで始まりました。当時のアメリカでは、アルコールや薬物依存の影響で業務に支障をきたす人の増加が社会問題となっていました。解決の糸口となったのが、自助グループの活動です。アルコール依存に悩む人たちで集まり、自身の抱える問題を語り合うことで症状が改善していくことが広く認知されていきます。自助グループの「つながり、語り合う」解決策が政府や企業にも導入され、現在のEAPとなっています。

 

日本では、長時間労働や職場の人間関係によるストレス、それに伴う自殺が問題視され、メンタルヘルスケアとしてのEAPが注目されるようになりました。以前は、職場の人間関係などのストレスは個人の問題とされていました。しかし現在では、従業員のメンタルヘルス対策は企業の社会的な責任とされる考え方が主流です。問題発生時の対応コストを回避する目的でもEAPを導入する企業が増えています。

EAP導入の目的・メリット

EAP導入のメリット

企業がEAPを導入する目的や具体的なメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは以下の3つについて説明します。

・生産性の向上

・職場環境の改善

・企業のイメージアップ

 

生産性の向上

企業がEAPを導入する目的は、従業員の健康を守り、個人と組織の仕事の生産性を上げることです。職場の人間関係などで悩みを抱えている状態では仕事に集中しきれず、個人の持つ最大限の力は発揮できません。また、メンタルヘルスの不調を放置していると、大きなミスや怪我につながる恐れもあります。個人や組織の生産性を上げるためには、企業が適切に介入することが大切です。EAPにより従業員のメンタルヘルスケアを行うことで、従業員のパフォーマンスの向上が期待できます。

 

職場環境の改善

ストレスの多い職場では、従業員間のコミュニケーションが不足しがちです。コミュニケーションが不十分だと行き違いが起こりやすく、職場の雰囲気が悪くなります。場合によっては、ハラスメントの発生も懸念されます。EAPによるケアで、適切なコミュニケーションを取れる環境に整え、トラブルを減らすことが大切です。

 

企業のイメージアップ

EAPを導入する効果として、企業のイメージアップも期待できます。メンタルヘルスの不調を改善できれば、休職者や離職者を減らすことが可能です。従業員の定着率が高くなれば、「人を大切にする企業」だと外から認識され、企業のイメージが良くなります。企業のイメージアップは、より良い人材を確保しやすくなったり、商品やサービスが売れやすくなったりする点でもメリットです。

 

▽EAPのメリットについてはこちらで詳しく紹介しています。

EAPサービスを導入する企業のメリットとは?

内部EAPと外部EAP

EAPはどのように導入すればいいのでしょうか。導入方法は大きく2つに分けられ、それぞれ内部EAPと外部EAPと呼ばれます。内部EAPでは、社内ですべてのメンタルヘルス支援が受けられるように整備する方法です。一方、外部EAPは社外の専門機関にメンタルヘルス支援を委託します。

 

内部EAPの特徴は、相談から問題の対応までの一連の流れがスムーズな点です。相談員が社内の事情を把握しているため、従業員のストレス要因を理解しやすくなります。ただし、産業医やカウンセラーなどの専門家を常駐させるため、一定の人件費がかかることはデメリットです。

 

外部EAPの特徴は、会社から切り離された場所で従業員が相談できることです。内部EAPでは相談先を社内に設置しているため、相談の事実を他の従業員に知られる可能性があります。一方、外部EAPでは社外へ訪問したり、電話やメール、チャットなどオンラインを利用したりするため、相談の事実を他の人には知られません。いつでも気兼ねなく相談できる環境は結果として、問題への早期解決に近づきやすいでしょう。

EAPの具体的な取り組み

EAPの具体例として、ストレスチェックやカウンセリング、セミナーなどがあります。取り組み内容に必須事項はないため、企業の状況に応じて必要なものを選択可能です。ここでは、前述した3つについて詳しく説明します。

 

ストレスチェック

従業員50名以上の企業では、ストレスチェックが義務化されています。しかし、ストレスチェックを実施しても、メンタルヘルスの改善につながらないケースも多いです。例としてKIRIHAREのEAPサービスでは、ストレスチェックの実施からその後のサポートまでを行い、本質的な改善ができる工夫がされています。


KIRIHAREのストレスチェックの詳細はこちら

 

カウンセリング

EAPのカウンセリングでは、メンタル不調になりにくい心を作る「予防」とメンタル不調が深刻化する前の「対応」が行われます。早期に介入するほど早く回復できるため、「予防」はメンタルヘルス対策では重要な要素です。また、EAPの専門機関では、産業医や臨床心理士などの専門家と提携していることが多いです。緊急性の高い症状でも、専門的なカウンセリングを受けることができます。

 

セミナー

EAPの1つとして、メンタルヘルス対策の理解を深めるため、管理職や従業員へのセミナーを取り入れる企業もあります。メンタルヘルスの知識を社内に定着させるため、人事担当者などを対象にコーチングやコンサルティングのセミナーを実施する場合もあります。

 

まとめ

EAPの導入には、組織の生産性の向上や企業に良い人材が集まりやすいなどのメリットがあります。企業の生産性や離職率に課題を感じている場合は、EAPを取り入れてみるといいでしょう。EAPの専門機関では、無料体験サービスを提供していることもあるため、活用してみるのもおすすめです。