不安解消の方法
・不安とは
何らかの理由があって、気持ちが落ち着かなかったり、ドキドキして心細かったりといった症状が、いわゆる不安です。
不安は、誰もが感じる感情の一つです。
心配ごとや気がかりなことがあったり、初対面の人と会ったり、新しい職場に入ったりするときや試験の前などに、この感情が現れます。
このような不安は、病気ではありません。むしろ、心が健康である状態です。
心配要因がなくなれば、不安も解消されます。
ただし、理由もないのに不安になる場合があります。
この場合は、病的な不安であるおそれがあります。その病名は不安障害です。
不安障害の場合は、精神科や心療内科などを受診する必要があります。
・代表的な不安要素
代表的な不安要素を挙げると、「対人関係」があります。
たとえば、初対面の人や目上の人に会うときなどは、緊張と同時に不安がよぎります。
また家庭内でも、配偶者が怒るのではないかとビクビクしながら生活する状況であるならば、それもまた不安要素といえます。
「環境の変化」にも、不安が伴います。
たとえば、新しい学校や新しい職場に行くとき、職場などで異動があったときなどは、不安が大きくなることが多いものです。
女性では、妊娠や出産などが不安につながることもあります。
「経済的要素」が不安材料になることもあります。
たとえば、家計のやりくりが毎月赤字であったり、子どもの進学に伴い学費が必要になったり、
マイホームの修繕に突然高額なお金が必要になったり、といった場合です。
・不安解消方法
不安に対処しきれずにいると、不安障害などの病気になってしまうこともあります。
病気になると、抗不安薬など薬剤の力を借りなければいけません。
しかし、不安は人間であれば誰もが抱えていることですから、むしろ上手に付き合うことが大切です。
ここでは、薬に頼らない不安解消テクニックをいくつか紹介します。
「リラックス呼吸法」をマスターすると、不安解消に大変効果的です。
呼吸は自律神経によって、無意識のうちに行われています。
そのため呼吸方法を変えることで、自律神経を安定させることが可能です。
一言でいうと、深呼吸をすることでリラックスできます。しかし真に効果的なのは、腹式呼吸による深呼吸です。
その際、横隔膜を広げるイメージをもって深呼吸することが大切です。
次に紹介するのは「リラクゼーション」です。
不安があると、体がこわばっているものです。そのようなときは、意識的に筋肉を緊張させてから力を抜くと、効果的に脱力することができます。筋肉のこうした特徴を生かして、リラックス状態を身につけることがリラクゼーションで、別名漸進的筋弛緩法ともいわれます。
具体的には、一つずつの筋肉を意識して、緊張と弛緩を繰り返します。
さきのリラックス呼吸法と合わせておこなうと、より効果的です。
「自律訓練法」も不安解消には効果的です。
自律訓練法は、自己暗示によってリラックス状態を作る手法です。
最初に腹式呼吸にて呼吸を整えます。
呼吸が整ったら、「手が温かい」や「手足が重たい」などの感覚を心の中で念じながら自己暗示をかけていきます。
体の声に耳を傾けてその感触を楽しみ、身体的にリラックスした状態へと導きます。
自律訓練法の最後には必ず、「終了動作」を実施します。
リラックスした姿勢から体を起こし、手足の屈伸や背伸び、深呼吸を数回おこないます。
不安を解消するには「生活習慣の見直し」も大切です。
生活習慣の中でも「カフェインを控えること」「規則正しい生活リズムを守ること」「適度な運動」が重要です。
カフェインは興奮物質の一種なので、交感神経が刺激されて脳内が緊張状態になります。
個人差はありますが、1杯のコーヒーでも緊張状態が7時間程度持続するといわれています。
また、毎日同じ時間に起床し、食事を食べることを意識すると、生活リズムが整い、体や心のストレスを軽減する作用が期待できます。
人間には体内時計があるため、それを整えることで、自律神経の働きも整うというわけです。
さらに、適度な運動をすると、脳内物質であるセロトニンの働きが活発になります。
セロトニンがもつ脳をリラックスさせる作用で、不安の解消効果が期待できます。