ストレスチェック義務化。その目的と概要は?
ハラスメントや過度な業務などで精神障害が起き、精神障害に伴う労災認定が増えており、2019年度には2060件と、統計を取りはじめてから過去最高を記録しました。また自殺原因、動機の約半数が勤務と健康問題とされています。
また新型コロナウイルス感染拡大に伴って、自殺者数が増加しています。
仕事の仕方も変化し、今までとは違うストレスもあるため、思ったよりもストレスを感じているかもしれません。そのためストレスチェックが重要になります。
ストレスチェック義務化の目的は?
メンタルヘルス不調を未然に防ぐ一次予防を行うことで精神障害の発生を防ぎ、より働きやすい職場環境に改善することを目的としています。
ストレスチェック概要は?
ストレスチェックを行い、検査結果によって医師などによる面談指導を希望した場合、事業者は面談を実施しなければいけません。
また医師などにいる面談の結果必要であれば就業上の措置を講じる必要があります。
ストレスチェック義務の対象者
個人や法人関係なく常時使用する労働者が50人以上いる会社が義務となっています。
常時使用する労働者とはどういうことか調べました。
ストレスチェックの対象者「常時使用する労働者」とは?
「常時使用する労働者」とは、次の①、②の要件を満たす労働者を指します(一般定期健康診断の対象者と同様です)。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
厚生労働省からでている労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルでは以上のように記されていました。
これを見る限り常勤、非常勤のくくりではなくこれからどれだけの日数働くのか、実際働いている労働時間がどうなのかで対象者かどうかが決まります。
つまりバイトやパートでもストレスチェックの対象者になるということになります。
ちなみに社長や役員などは使用者であり、対象者には含まれません。
派遣社員についての実施義務は派遣元になりますので派遣先の会社に義務はありません。
しかし実際に働いている会社でもストレスチェックを実施することが推奨されています。
また50人以下の会社に関しては努力義務となっています
実施時期は?
ストレスチェックはメンタルヘルス不調の未然防止である一次予防の推進から1年に1回実施することが義務付けられています。
しかしいつ行うかまでの指定はありません。
会社により繁忙期等も違うため各会社毎に衛生委員会などで話し合い決めましょう。
尚2年目以降は最初に行った月の1年後を目安に実施します。
環境の違いを防ぐためにストレスチェックの実施時期はできるだけ同じ時期で行います。
実施者
医師、保健師、精神保健福祉士の他、歯科医師、看護師、公認心理師も実施者になれます。
主に産業医が実施者となることが多いのではないかと思います。
会社の人事に関わる人はなれません。
事務補助
実施者の補助を行います。具体的な作業内容としては調査票の回収や実施者との連携、結果封筒詰めなどの事務作業です。
こちらも人事に関わる人はなれません。
続いてストレスチェック実施に流れをみていきます。
- 事業者が制度の方針を決め、従業員に説明する。
- ストレスチェックの実施
- 結果
- 高ストレス者についての希望者面接指導
- 事後措置、環境改善の実施
- 労働基準監督署への報告
事前説明はストレスチェックについてや検査結果は実施者から従業員に直接行くため人事担当や事業主などに結果はいかないこと、高ストレスの場合は医師などに相談ができることなどの説明を行いましょう。
人事に影響がでてしまうのではないかという不安などがあると正しいチェックができないためしっかりと説明しておいた方が良いでしょう。
事後措置や環境改善などは産業医など実施者から意見があった場合は必要に応じて職場環境の改善などをしなくてはいけません。
また労働基準監督署へも報告義務もあります。
報告義務を怠ると労働衛生法の違反となり、50万以下の罰金に処せられるため必ず報告するようにしましょう。
なお50人未満の会社に関しては報告義務はありません。
会社においてのストレスチェックの項目と内容は?
ストレスチェックは、義務に対応した調査票を使って実施します。
調査票には、次の1~3の項目が含まれている必要があります。
1 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
非常にたくさんの仕事をしなければならない
高度の知識や技術が必要な難しい仕事だ
2 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
イライラする
動機や息切れがする
3 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
上司と気軽に話ができる
家族に相談事が話せる
(労働安全衛生規則 第52条の9 より)
従来は厚生労働省が提供する「職業性 ストレス簡易調査票(57項目)」を用いてストレスチェックを実施する事が推奨されており、たくさんの会社で採用されていますが最近では、80項目ある新職業性ストレス簡易調査が注目されています。
57項目のものと比べ、より詳細な職場環境について把握できます。
まとめ
ストレスチェックについて義務化の目的や概要をまとめました。
- 仕事でのストレスによってからだの不調を訴える、ストレスフルな人が多くなっている。
- 今の自分のストレス具合を把握する
- ストレスチェックを基に職場環境の改善を図る
- 項目は心身負担の原因、症状、支援の内容組み込む
- 従来より項目が増えた新職業性ストレス簡易調査の採用が増えている
大きなストレスは仕事にもプライベートにも大きな影響を与えます。
一回はまりこむと考えはどんどんネガティブになり、体の症状は増え、悪循環となります。
こうなる前にまずは自分のストレス度合いを知ることが大切です。
また職場では体に影響がでるほどのストレスを与えない環境作りをするために、従業員の心の声に耳を傾けていきましょう。
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