新型コロナウイルス感染が事業所内で発生した際の、ストレス対応で大切なワード
新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。
職場にも様々なところがありますが、
高齢者や子どもなどに感染が発生して、
すでに大変な思いをされた方もいるかもしれません。
実を言えば、私自身も、福祉法人の子ども施設で、
新型コロナの感染が分かり、対応をしたばかりでした。
法人経営者でもあり、公認心理師、臨床心理士、
キャリアコンサルタントでもある筆者が
「新型コロナウイルス感染が事業所内で
発生した際のストレス対応で大切なワード」
というについてお話します。
◆こちらの記事はこんな方にお勧めです
〇従業員、利用者などに感染が広まった時どうしたらいいか心配
〇組織の中での、感染対策に対する考え方が様々で、
どのようにリーダーシップを発揮したらいいか悩んでいる
〇クラスターが発生した場合の実際の様子を知っておきたい
のんきに文章を書いているように
思われる方もいるかもしれませんが
個人的には、ここ2週間ほど、
しっかりしたお休みがありませんでした。
理由は、タイトルにある通りですが
わたしが理事長を務めている法人の子ども施設で職員が
新型コロナウイルスに感染し、利用している子どもに感染
していることがわかり、その対応に追われていたためです。
職員にはもちろん落ち度はなく
ワクチンも接種済みで
遊び歩いているわけではもちろんなく
家庭もしっかりした方です。
たまたま、発熱があったため、検査をしたところ陽性とわかり、
休日の朝、私のところにその連絡が入りました。
日頃から、保健所の方とは連絡を取り合ったり
担当官を園に招いて、職員研修などをしていたことから、
初期対応は、比較的スムーズに行うことができました。
最初のポイントとしては
『あらかじめ、発生した際のパターンを
いくつか想定しておくこと』
『保健所などの関係機関とは、
意識して良好な関係を作っておくこと』
です。
これは、今からでは遅い、と思わず
今回のコロナ騒ぎが収束し、保健所等が暇そうになったら、
やっておくことです。
「研修会」ということを持ち出すと、
大変喜んできてくれると思います。
さて、発生確認後は、施設の特性もあって、
あわただしい流れでした。
全体を休園として、全職員、全園児に検査を実施。
結果的に、新たな感染がわかり、休園措置を取りました。
保健所への協力として、検査補助を行ったり
その後の健康観察について、
陰性を確認した職員が交代で行うなど
連携した対応を実施することができました。
その後の経緯としては、感染が分かった家庭で
家族内の感染が拡大したり、事前の情報よりは、
症状がややつらいものだったことはありましたが
7日間で通常の運営に復旧することができました。
ただ、その7日間は、保健所の方はもちろん、
毎日対応が必要でしたが、自分自身も休みはなく、
毎日の保健所から依頼されている健康観察と、
「濃厚接触者」として待機している職員、
利用者家庭に対するケアに追われました。
もちろん、土日祝日も関係ありませんし、
夜中ということでなければ、時間も関係ありません。
家庭からは、検査結果などの連絡が来ますし
保健所からは、次にどうするかについての依頼も来ます。
私個人と、数名のスタッフは忙しくしていますが
想像すればわかるように
家で黙って待機している職員、利用者家庭は
『どうしたらいいのだろうか』
と悩むはずです。
ですので、こういったときは、自身の忙しさももちろんですが
ほんの少しだけ想像力を働かせて
『自分が、待機している従業員だったら』
『自分が、利用している家庭の親だったら』
ということを、推察する時間を持ちましょう。
会社組織の方であれば、
出入りしている取引先なども考慮しましょう。
一方
新型コロナに関しては、考え方も様々です。
わたしのかかわる園の従業員にも
『ワクチンは打ちません』
という方がいます。
国としては、その点をどんな施設であれ
義務化していませんので
法人としても「義務」にはできません。
ですが
利用家庭に損害を与えないように
ということについては、
共通認識を作っていくことができますので、
『様々な利用者の考え方を、
自分の考えと同じように尊重するように』
という言い方をしています。
さて、
いまや『電話連絡網』なんていうものを作っている会社組織は
あまりないかと思いますが、
わたしのかかわる園では、
『いくつかの連絡方法』を持っています。
まず、「電話連絡網」
それから、SNSを活用した連絡網
あとは、こちらから一方的に情報を提示する
メーリングリストっぽいものです。
利用者についても、
そうしたものを準備するようにしています。
『個人情報が面倒』という方もいるかもしれませんが、
これは、安全確保のほうが優先です。
事故災害があった際には
施設としては個人情報よりも、生命を重視します。
ということを、事前にお伝えし、
そうした際に使用する限定をつけて、
情報を提供、活用させていただいています。
今回は、こうした前提が機能していました。
ある県では、誹謗中傷につながるので、
感染情報の提供に否定的
というところもあります。
感染予防は、生命にかかわること
誹謗中傷は、名誉や権利の侵害にかかわることで
行政が、市民の生命の安全にかかわる情報を操作することは
妙なことにも感じますが、
これも多様な考え方があるのでしょう。
従って、
その多様な考え方を前提に
『情報を提供しつつ、合意を形成していくこと』
が、今回のようなコロナ対策の基本となります。
情報を提供する際のとても大切なポイントは
『文飾』です。
文飾、というのは、文字通り『飾り』なのですが
情報から受けるストレス、というのは、
おおよそこの「文飾」のせいです。
例を挙げてみましょう。
『深夜に申し訳ございません。つい先ほどのことですが、
ついにわが社でも新型コロナウイルスの
感染者が出てしまいました!!
今後、対策が必要となりますので、この件については、
また明日の午前中に速やかに対応したいと考えます。』
・・・なんと回りくどい、
というところでしょうか。
文章を読んでいるだけで、イライラしそうです。
端的にはこうでしょう。
『お知らせします。22時に保健所から連絡があり、
当社社員に新型コロナウイルスの感染が確認されました。
以降の対応については、明日午前に改めてお知らせ致します。』
職員にかける声掛け、も同様です。
緊急の際は、焦ったような様子を見せたり
疲れたような雰囲気を見せたりしがちですが
社内のメンタルヘルスを考えるのであれば
ある程度、平然と対応する必要があるでしょう。
もちろん、それは自分自身としては
『無理をしている』わけですが、
この事態がひと段落したら
「いや~、あの時はつらかった!!」
といえばよいのです。
まずは、余計な詮索を与える『文飾』を排して、
端的に、冷静に情報提供を行いましょう。
それから
「新しい情報がない」時には、
『新しい情報はありません』
という発信をすることも大切です。
自分自身に置き換えてもわかる通り
現在の、情報が早い時代に、
『知らせが無いのは良い知らせ』ということは、
まずありません。
現代においては
『情報がない』ということも価値のある情報です。
これだけでも、大分、対応待ちのストレスを減らし、
結果的に、いらない問い合わせなどを防ぐことにもなるので、
ぜひ定期的に使ってみてください。
KIRIHARE所属 臨床心理士
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