現代人が知っておきたいメンタルヘルスとは|人事・管理職向けの基礎知識

近年、「メンタルヘルス」という言葉を見聞きする機会が増えました。言葉自体は知っていても、「メンタルヘルスとは何か」と問われると、はっきりとは答えにくいという方も少なくありません。メンタルヘルス(mental health)とは、日本語で言えば「心の健康」を意味する言葉です。そして近年は、とくに働く人のメンタルヘルスが重要視されています。仕事を行ううえで悩みやストレスを感じる従業員が増え、心の健康を損なう「メンタルヘルス不調」に陥るケースが多くなっているからです。

本記事では、人事・労務担当者や管理職の方に向けて、職場における「メンタルヘルス不調」の捉え方、従業員の早期のサインへの気づき方、そして組織としての対応の進め方を整理してご紹介します。

職場における「メンタルヘルス不調」とは

メンタルヘルス不調と聞くと、精神疾患やうつ病といった深刻な状態を指すと思われがちです。とくに日本では、「仕事で苦労を背負い込み、それを乗り越えてこそ一人前」という考え方を持つ人も多く、従業員が悩みや不安、ストレスを感じるのは当たり前のことと、つい軽く考えてしまいがちです。

しかし、メンタルヘルス不調には、こうした悩みや不安を抱えている状態も含まれます。言い換えれば、深刻な状態に進んでしまう前の段階で職場が気づき、対処することが大切なのです。近年では、その要因のひとつとして、パワハラやセクハラといった職場のハラスメント行為や、過重労働が取り上げられることも増えています。職場が原因となっている場合は、事業所としての対応が欠かせません。

人事・管理職が早めに気づきたい従業員のサイン

メンタルヘルス不調は、放置すると長期化や休職につながることがあるため、職場としてできるだけ早い段階で従業員の変化に気づくことが望ましいとされています。日ごろ部下や同僚を見ているなかで、次のようなサインに気づいたら、注意して見守りたいところです。

  • 遅刻・早退・欠勤が増える、または出勤前になると体調を崩しやすくなる
  • 表情が乏しくなる、口数が減る、身だしなみが乱れてくる
  • 仕事上のミスや能率の低下が目立つようになる
  • 肩こりや腰痛、慢性的なだるさなど、体調不良の訴えが増える
  • 睡眠の乱れ(寝つけない、眠りが浅いなど)をうかがわせる発言が増える

サインの表れ方には個人差があります。「いつものその人」と比べて変化が続いていないか、という視点で見守ることが、早期発見の手がかりになります。

不調が疑われる従業員への組織としての対応

従業員の不調が疑われるときは、管理職や人事が一人で抱え込まず、組織として段階的に対応していくことが大切です。

  • まずは声をかけ、「最近少し気になっている」と本人の話を否定せずに聴く機会をつくる
  • 業務量や勤務時間を見直し、必要に応じて負担を調整する
  • 産業医・保健師との面談や、社内外の相談窓口を本人が選べるよう案内する
  • パワハラ・セクハラなど原因がはっきりしている場合は、ハラスメント相談窓口での事実確認・措置につなげる
  • つらさが続く場合は、本人の自己判断に委ねず、医療機関への受診を勧める

従業員が我慢して耐え続ける状況は、本人にとっても組織にとっても望ましいものではありません。早めに気づき、相談につなげる仕組みを整えておくことが、回復への大切な一歩になります。日ごろから「相談しやすい職場の雰囲気づくり」を進めておくことが、何よりの予防策といえるでしょう。