不安のコントロールにつながるのは、不安を知ること
職場では、業務のプレッシャーや対人関係、環境の変化などから、強い不安を抱える従業員が少なくありません。不安をうまくコントロールできずに自己嫌悪に陥り、パフォーマンスや心の健康を損なうこともあります。本記事では、人事・管理職が「不安」という感情を理解し、部下の不安に気づき、適切に支援するための視点を整理します。
そもそも「不安」とは
不安とは、物事の先行きや将来などが気にかかって心を悩ますことです。「もし○○だったら…?」と悪い方向に想像をめぐらせてしまうことで、不安が生まれます。
一見ネガティブに感じるかもしれませんが、不安にはメリットもあります。不安は、危険を回避したりリスクに備えたりする原動力になります。仕事の場面でも、適度な不安があるからこそ準備を入念に行い、ミスを未然に防げることがあります。問題なのは「不安そのもの」ではなく、不安に振り回されて業務や生活に支障が出ている状態です。管理職としては、この線引きを意識して部下を見守ることが大切です。
従業員が不安を抱える主な要因
部下の不安に気づき、支援するには、背景にある要因を理解しておくことが役立ちます。職場で見られる不安の要因には、次のようなものがあります。
将来やキャリアへの焦り
同僚との比較や評価への不安、キャリアの見通しが立たないことから、不安を感じる従業員は少なくありません。その不安が将来にまでおよぶと、働く自信を失ってしまうこともあります。
職場の人間関係
上司・同僚との関係のすれ違いや、相性の合わない相手、ハラスメントがある場合などは、不安がなかなか消えません。人間関係の不安は、メンタル不調の大きな引き金になります。
体調や働き方
過重労働や疲労の蓄積、体調不良が続くと、「このまま働き続けられるだろうか」という不安が湧きやすくなります。労働時間や業務量の調整は、不安の軽減に直結します。
考え方のクセ
特に不安要素がないのに不安を感じやすい従業員もいます。次のような傾向が背景にあることがあります。
- 常に最悪のパターンを想像してしまう:慎重な人ほど、マイナスな結果ばかりが頭に浮かんで落ち込みやすい傾向があります。
- 完璧主義の傾向がある:自分に高い基準を課していると、不完全さに強い不安を感じやすくなります。
不安を抱える部下への支援
不安に振り回されている部下に対して、管理職ができる支援の基本は、本人を追い詰めず、安心して話せる環境をつくることです。
不安を言語化できる機会をつくる
1on1や面談の場で、何が気がかりなのかを本人が言葉にできるよう傾聴します。漠然としていた不安が整理されるだけでも、気持ちが軽くなることがあります。否定や評価を急がず、まず受け止める姿勢が大切です。
業務の見通しと負荷を調整する
不安は「先が見えないこと」「抱えすぎていること」から生まれやすいものです。タスクを分解して優先順位を明確にする、サポート体制を示す、業務量を見直すといった調整が、不安の軽減につながります。気分転換のための休息や有給休暇の取得をためらわせない職場づくりも有効です。
不安と上手につきあえる職場へ
不安それ自体は、決して悪いものではありません。しかし、従業員が不安に振り回され続けるのはつらく、組織にとっても損失です。管理職が部下の不安に早めに気づき、適切に支援することで、不安を成長やリスク管理の力に変えていくことができます。
なお、部下の不安が長く続いたり、業務や生活に支障が出たりしている場合は、管理職だけで抱え込まず、産業医や社内外の相談窓口・従業員支援プログラム(EAP)といった専門的な支援につなぐことが大切です。
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