報告が事実と食い違う従業員への対応|人事・管理職が育てる「正直に話せる職場」
「報告の内容が事実と食い違う」「できていないことを『できた』と言う」——こうした従業員の言動に、管理職や人事が頭を悩ませることがあります。単なる怠慢や悪意と決めつけてしまいがちですが、本人もコントロールがむずかしく、背景に不安やプレッシャーが隠れているケースもあります。本記事では、事実と異なる報告が繰り返される従業員に、人事・管理職がどう向き合い、職場としてどう対応・支援していくかを整理します。なお、本記事は一般的な情報であり、診断や治療に関するものではありません。業務や本人の状態に深刻な影響が出ている場合は、産業医や専門の相談窓口につなぐことが大切です。
「嘘」と決めつける前に、背景に目を向ける
事実と異なる報告が起きたとき、頭ごなしに「嘘をついた」と責めると、本人はますます身を守ろうとして、かえって真実を話しにくくなります。管理職・人事がまず意識したいのは、なぜそのような報告になったのかという背景に目を向けることです。「ミスを報告すると強く叱責される」「進捗の遅れを正直に言える雰囲気がない」といった職場環境が、結果として事実と異なる報告を生んでいることは少なくありません。
はじめは小さな取りつくろいだったものが、追い込まれる中で繰り返され、やがて本人も実態とのずれに気づきにくくなっていく——そうした悪循環に陥る場合もあります。だからこそ、個人の資質の問題と一括りにせず、まずは一人ひとりの状況や職場の事情を丁寧に把握したうえで、対応を考えていくことが大切です。
事実を「見える化」する仕組みをつくる
報告の食い違いを減らすには、本人を問い詰めるよりも、事実が自然に共有される仕組みを整えるほうが効果的です。進捗を口頭だけに頼らず、タスク管理ツールや日報、定例の短い1on1などを活用し、「いつ」「何を」「どこまで」進めたかを記録として残せるようにします。事実が見える形になっていれば、本人も取りつくろう必要がなくなり、管理職も早い段階でつまずきに気づいて支援できます。
面談では、報告の食い違いそのものを責めるのではなく、「どこで困っているのか」「何があれば正直に共有できるか」に焦点を当てます。事実を打ち明けてくれたときには、まずその正直さを受け止める。そうした積み重ねが、安心して本当のことを言える関係をつくっていきます。
正直に言える職場が、信頼を育てる
事実と異なる報告の背景には、「ミスを認めたら評価が下がる」「弱みを見せられない」といった自信のなさや不安が隠れていることもよくあります。管理職・人事が、悪い報告ほど早く共有してくれたことを評価し、隠さなかった姿勢を認めることで、本人の安心感が高まり、根本的な改善につながりやすくなります。いわゆる「心理的安全性」の高い職場づくりが、最も効果的な予防策になるのです。
焦らず、専門家とも連携しながら
長く続いてきた行動の傾向は、すぐに変わるものではありません。職場として焦らず、本人のペースに合わせて見守る姿勢が大切です。一方で、業務に支障が出るほど報告の食い違いが続く場合や、本人が強い不安を抱えているとみられる場合は、管理職・人事だけで抱え込まず、産業医や外部の相談窓口など専門家につなぐことが重要です。日頃から相談しやすい窓口を周知し、管理職への研修を通じて「正直に話せる組織」を育てていくことが、職場全体の信頼関係を支えていきます。
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