人事のための心理カウンセリング活用ガイド|資格と相談体制の選び方

ストレス社会とも言われる現代、厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活に関することで強い不安やストレスを感じている労働者の割合は半数を超えています。多くの従業員がストレスを抱えながら働いているなか、企業が心理カウンセリングやEAP(従業員支援プログラム)を導入・活用する場面は増えています。

本記事では、人事・労務担当者が外部のカウンセリングサービスやEAPを選定・活用する際に知っておきたい基礎知識として、心理カウンセラーとはどのような専門職か、どんな資格があり、何を目安にすればよいかを整理します。

心理カウンセリング・心理カウンセラーとは?

心理カウンセリングとは、専門知識や技術を持つ心理カウンセラーが、相談者との対話を通じて心の負担を軽減したり、困りごとの解決をサポートしたりすることを指します。従業員のメンタルヘルス対策として、相談窓口やカウンセリング機会を整えることは、不調の早期発見・重症化の予防に役立ちます。

なお、「心理カウンセラー」は資格名ではなく、相談者の困りごとや心の悩みの解決をサポートする人たちを指す呼称です。そのため、仕事として心理カウンセリングを行っていれば、資格がなくても名乗ること自体は可能です。だからこそ、企業がサービスを選定する際には、後述する資格や専門性を一つの目安として確認することが大切になります。

心理カウンセラーが活動する分野

心理カウンセラーが活動している場所はさまざまですが、大きく分けると以下の5つの分野が挙げられます。企業の人事・労務にとくに関わりが深いのは「労働・産業分野」です。

  • 医療・保健分野:病院(精神科・心療内科など)や保健所など。患者への心理検査や心理療法のほか、医師や看護師など他職種と連携します。
  • 教育分野:いわゆるスクールカウンセラーとして学校内で勤務するケースが多くを占めます。
  • 福祉分野:子どもや障がい者、高齢者への心理的支援が主な役割です。
  • 労働・産業分野:民間企業、外部EAP(従業員支援プログラム)機関や公共職業安定所(ハローワーク)などで活動します。働く人々への心理的援助や、休職者・復職者へのフォロー、職場へのコンサルテーションなどを担います。企業がカウンセリングを導入する際の主な担い手です。
  • 司法・矯正分野:家庭裁判所や刑務所、少年院などで活動します。

サービス選定の目安になる「資格」を知っておく

前述のとおり、心理カウンセラーは資格を保有していなくても名乗ること自体は可能です。だからこそ、企業が外部サービスを選ぶ際には、公認心理師や臨床心理士などの資格保有者が対応するかどうかを確認することが、専門性を見極める一つの手がかりになります。

代表的な資格としては公認心理師臨床心理士が挙げられます。どちらも心に悩みを抱えた人の援助を行う専門家です。公認心理師は2017年に施行された公認心理師法によって誕生した国家資格であるのに対し、臨床心理士は長年にわたり高い専門性と信頼性を示してきた、公益財団法人が認定する民間資格です。

そのほか、精神障害のある人への相談業務を担う精神保健福祉士という国家資格や、働く人の心の問題を支援する産業カウンセラーなど、多様な資格が存在します。とくに産業カウンセラーは、職場のメンタルヘルスや労務に関わる相談に強みがあり、企業向けサービスでよく見られます。

自社に合った相談体制をどう整えるか

従業員のメンタルヘルス対策として相談体制を整える際は、「どの資格を持つ専門職が対応するか」「予防から早期発見、休職・復職支援まで一貫して対応できるか」「従業員が気軽に利用できる窓口があるか」といった観点で検討するとよいでしょう。

自社ですべてをまかなうのが難しい場合は、外部EAPサービスの活用も有効です。働き方やニーズに合わせて、社内体制と外部サービスを組み合わせながら、従業員が安心して相談できる環境を整えていきましょう。