従業員がトラウマを抱えたとき|人事・管理職の気づきと支援
労働災害や事故、自然災害、あるいは深刻なハラスメントなど、職場でも従業員が強い心の傷(トラウマ)を負う出来事は起こり得ます。本記事では、人事担当者や管理職が、トラウマを抱えた従業員にどう気づき、どう対応し、専門的な支援へつなげればよいのかを整理します。トラウマとは、衝撃的な出来事によって心に深い傷を負っている状態を指します。
職場で起こり得るトラウマの背景
トラウマの原因となる出来事はさまざまで、職場に関わるものとしては次のようなケースが考えられます。
- 業務中の重大な事故やその目撃
- 顧客や取引先からの暴言・暴力(カスタマーハラスメント)
- 職場での深刻なハラスメントや暴力
- 大地震などの自然災害
- 同僚の死や重大な災害への遭遇
こうした体験をきっかけに、強い不安や恐怖がよみがえり、出勤が難しくなったり、集中力が続かなくなったりする従業員もいます。似た状況に直面したときに当時の記憶が突然よみがえる「フラッシュバック」に苦しむこともあるとされ、通常の業務に戻ることが難しくなる場合もあります。人事・管理職は、こうした変化を「気のせい」「甘え」と片付けず、心の傷の影響かもしれないと受け止める姿勢が重要です。
人事・管理職が取るべき初期対応
トラウマへの治療やケアそのものは、臨床心理士などの専門家が担う領域です。人事・管理職の役割は、本人を診断したり原因を深掘りしたりすることではなく、まず「今の職場は安全である」という安心感を取り戻せる環境を整え、専門的な支援につなぐことです。
本人がつらい体験を無理に語る必要はありません。話を急かしたり、安易に励ましたりすることは、かえって本人を追い詰めることがあります。「困っていることがあれば会社として支援したい」という姿勢を伝え、業務量や勤務形態の調整、産業医や社外の相談窓口の案内など、本人が安心して相談できる選択肢を用意しましょう。
多くの場合、回復には時間がかかります。一度の面談で解決を求めず、本人のペースを尊重しながら、産業保健スタッフや外部の専門家と連携して継続的に見守ることが大切です。安心できる職場と信頼できる支援体制があることで、従業員は少しずつ日常を取り戻していけます。
支える側のケアも欠かせない
注意したいのは、対応にあたる管理職や同僚自身も、深刻な出来事に向き合うことで精神的な負担を受ける場合があることです。これは「二次受傷」とも呼ばれます。重大な事案では、対応者だけで抱え込まず、組織として産業医や外部の専門機関と連携し、支える側の心のケアも含めた体制を整えておきましょう。
従業員が心に深い傷を負う出来事に直面したときは、本人を一人で抱え込ませず、必要に応じて医療機関や専門のカウンセラーへつなぐことが、人事・管理職に求められる支援の第一歩です。
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