業務の「断捨離」で従業員の負担を軽くする|抱え込みに気づく職場づくり

不要なものを手放す「断捨離」は、もともと個人の暮らしを整える習慣として知られていますが、その考え方は職場のマネジメントにも応用できます。仕事や業務プロセス、人間関係を抱え込みすぎている従業員は、知らず知らずのうちに心の負担を増やし、ストレスをため込んでしまいがちです。本記事では、ものを手放せる人・手放せない人の心理を手がかりに、人事・管理職が従業員の「抱え込み」にどう気づき、職場としてどう負担を軽くしていけばよいかを解説します。

手放すのが得意な人の心理

不要なものや業務を上手に手放せる人には、いくつかの共通した心理の特徴があります。職場で「仕事の優先順位づけが上手な従業員」を理解するヒントにもなります。

  • 自分で判断しようとする意識が強い:「自分でなんとかしよう」と考え、必要なものとそうでないものを自分の基準で判断できます。業務でいえば、優先すべきタスクと後回しでよいタスクを見極める力につながります。
  • 失うことを割り切れる:「何かを得るには何かを手放す必要がある」と捉えられます。「もったいないけれど仕方ない」と割り切れるため、抱え込みすぎずに済みます。
  • 頭の中を整理したい欲求がある:散らかった状態を見ると整えたくなり、無駄をシンプルにできないかと考えます。その積み重ねで、自然と不要なものを手放せるようになります。

手放すのが苦手な人の心理

一方、手放すのが苦手な人には次のような傾向があるといわれています。職場では「仕事を一人で抱え込みやすい従業員」「断りきれずに業務が積み上がってしまう従業員」として現れることがあります。

  • 「もったいない」という気持ちから執着が強くなる:これはものだけでなく、業務や人間関係にも当てはまります。手放せずに抱え込み、疲れてしまうことがあります。
  • 他人を基準にしがち:自分にとって何が必要なのかが分からなくなり、周囲の評価に振り回されて、自分の判断軸を持ちにくくなってしまいます。

職場の「業務の断捨離」がもたらす効果

個人の心の整理と同じように、職場でも不要な業務やプロセスを見直す「業務の断捨離」には、従業員の心の面で次のような効果が期待できます。人事・管理職が主導して取り組む価値のある観点です。

  • ストレスが減る:「やることが片付かない」「何から手をつければよいか分からない」という状態そのものがストレスになります。不要な会議や形骸化した業務を減らすことで、従業員の頭の中が軽くなり、ストレスの軽減につながります。
  • 決断力が養われる:手放す判断を重ねることで、前例や慣習に過度にとらわれなくなり、組織としても従業員個人としても意思決定が速くなっていきます。
  • 業務と心に余裕が生まれる:本当に重要な仕事に集中でき、必要なときに必要なリソースを割けるようになります。

管理職としては、従業員一人ひとりが抱える業務量を定期的に棚卸しし、「本当に必要な業務か」を一緒に見直す機会をつくることが大切です。抱え込みやすい従業員には、業務を手放してよいことを明確に伝え、優先順位づけを支援しましょう。負担が過度に積み重なり、本人がつらさを感じている様子があれば、一人で抱え込ませず、上司や人事、産業保健スタッフ、外部の相談窓口に相談できる体制を整えておくことが、メンタル不調の予防につながります。