中小企業のハラスメント対策の相談窓口設置について。義務化に向けて準備しましょう!
中小企業でもハラスメント対策の相談窓口の設置が義務化されていることは知っていますか?
2022年12月現在、中小企業のハラスメント相談窓口設置は、大企業同様に義務化されています。中小企業とっては大きな負担になりますが、法律で定められている以上、必ず相談窓口を設置しなくてはいけません。
本記事では、中小企業に向けて「ハラスメント対策の相談窓口」の存在意義や注意点などについて詳しくご説明いたします。
ハラスメント対策の相談窓口とは?
職場におけるハラスメントは、下記の3つの要素を全て満たすものを指します。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 労働者の就業環境が害されるもの
本来、以上のような行為は許せないものですが、職場でハラスメントが横行している場合もあります。そのような状況を無くすためにも、ハラスメント対策の相談窓口設置が必須だと言えるでしょう。
ハラスメント対策の相談窓口の存在意義
ハラスメント対策の相談窓口は、職場のハラスメントで悩んでいる人が気軽に相談できる場所として設置が義務化されました。職場におけるハラスメントとは、以下のようなことが挙げられます。
- パワーハラスメント
- セクシュアル・ハラスメント
- 妊娠・出産、育児・介護休業などに関するハラスメント
上記のハラスメントについては、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法において適切な処置をすることが定められています。職場でハラスメントが起こった際、迅速に事実確認や適切な処置をするためにも、相談窓口の設置は必要だと言えます。
また、相談窓口の役割は、ハラスメントの問題を解決するだけではありません。直接的な問題解決も重要ですが、相談者が置かれた状況を理解し、精神面のケアやサポートもする必要があります。
パワハラ防止法の施行により相談窓口の設置が義務化
2020年6月1日に施行の「パワハラ防止法」によって、ハラスメント対策の相談窓口設置が企業に義務付けられました。施行当初は、大企業のみの義務化でしたが、2022年4月1日から中小企業も相談窓口の設置が義務化されています。
現在、相談窓口設置の義務化は全企業が対象となっており、どのような企業でも相談窓口を設置しなければなりません。
設置しないと企業名が公表される
相談窓口の設置が義務化とされているものの、設置しないことによる罰金などの直接的な罰則はありません。
ただし、厚生労働大臣が事業主に対して助言、指導、勧告をすることは可能です。また、厚生労働大臣の勧告に従わなければ、企業名が公表される場合もあります。
相談窓口は社内と社外の両方に設置可能
相談窓口は、社内に設置しなくても問題ありません。社内での設置が難しい場合は、社外への外部委託もできます。
ただし、外部へ委託する場合は有料であるため、注意が必要です。
社内で設置する場合は内部相談窓口
内部相談窓口とは、会社内部に設置する相談窓口のことです。会社内部の相談窓口であるため、メリットとして事実確認から適切な処置まで迅速に対応できることが挙げられます。
ただし、ハラスメントの相談はセンシティブな問題です。そのため、ハラスメント行為者への事実確認などは、しっかりと相談者の了承を得てから進める必要があります。
また、企業内部であるからこそ、より一層中立的な立場が求められます。ハラスメント行為者に対しても、被害者の意見に寄り添った話し方ではなく、客観的な視点から第三者として話を聞くことが重要です。
話を聞く際は、相談者やハラスメント行為者のプライバシーを守るため、個室や会社の外で話せる環境を作る必要があります。相談窓口の担当者は、男性と女性それぞれ1人ずつと、部長や課長レベルの責任者1人の計3人でチームを作るのがおすすめです。
外部委託の場合は外部相談窓口
相談窓口を外部に委託することも可能です。有料ではありますが、法律事務所や社会保険労務士事務所といったハラスメント対策のプロに相談窓口となってもらえます。
また、外部委託するのであれば、EAP(従業員支援プログラム)を取り扱ってるサービスを利用するのも良いでしょう。ハラスメント専門の相談窓口としてサービスを提供しているところも数多くあり、企業状況にあった委託先を選ぶことが可能です。
特に中小企業であれば、内部に相談窓口を設置する余裕がなかったり専門的な知識がなかったりと相談窓口の設置が難しい場合もあります。無理やりに内部に相談所を設置する必要はないため、難しいのであれば外部に設置するのがおすすめです。
会社と全く関係ない窓口を利用したい場合
外部委託の場合は、会社を通じての窓口となるため、相談する時に後ろめたく思う人もいます。そのような場合は、外部委託以外の外部サービスに相談することも可能です。
近年では、会社に知られずに相談できるサービスが増えつつあります。相談内容を会社に伝えるか選択でき、会社に伝えなかった場合、会社に相談内容を知られることはありません。
厚生労働省や労働局なら無料で相談可能
厚生労働省の「ハラスメント悩み相談室」や労働局の「総合労働相談コーナー」なども、相談窓口として利用可能です。
ただし、これらの公的なサービスは、ハラスメントで悩んでいる人が気軽に相談できる場所として設置されました。そのため、企業の外部委託先として利用することは認められていません。
ハラスメント対策の相談窓口設置までの流れ
ハラスメント対策の相談窓口を設置する流れは、以下の通りです。
Step.1 | ハラスメントに対する方針を明確にする |
Step.2 | 専門知識がある相談員を配置する |
Step.3 | 相談窓口システムを作る |
闇雲に相談窓口を設置してもなかなか機能しないため、流れに沿って計画的に設置を進めるのがおすすめです。
ハラスメントに対する方針を明確にする
相談窓口を設置する前に、ハラスメントを行ってはいけない方針を明確にしなければいけません。ハラスメント行為者に対して厳正に処分することと処分内容を定めて、その内容を社内に周知させます。
また、どこからどこまでがハラスメント行為なのかもはっきりさせる必要があります。具体的なNG行為を明示し、従業員の行動基準を明確にすることが大切です。
どのような行為をすると、ハラスメントに相当するのか、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントなどに該当する行為をはっきりさせ、従業員にハラスメント行為をさせないよう対策をしましょう。
行動指針にハラスメントに関する内容も含める
行動指針には、社内の各種情報セキュリティや独占禁止法に抵触しないことなど、従業員としてあるべき姿や行いを示すものも含まれます。
その行動指針の中にハラスメント行為について明記しましょう。そして、行動指針は策定するだけではなく、繰り返し読める環境を作って従業員に覚えてもらいましょう。
この行動指針にも行動基準と同じように、違反行為を明示し、違反した場合に罰則があることを示しておく必要があります。
専門知識がある相談員を配置する
ハラスメントの相談は、非常にセンシティブな内容です。ハラスメントに関する知識がまったくない人材を相談窓口に配置しても、相談者を余計に苦しめてしまう可能性があります。
専門の知識がある人材がいれば、それに越したことはありませんが、そのような人材を社内で見つけられる可能性は低いです。相談員として正しい知識を習得して、相談窓口で適切な対応ができるよう、社内の人材に外部のハラスメント教育セミナーなどを受講させましょう。
相談窓口の担当者は男性と女性それぞれ1人ずつ以上
相談窓口の担当者は、男性と女性それぞれ1人ずつと、部長や課長レベルの責任者1人の計3人以上でチームを作るのがおすすめです。
職場の悩みは同性の方に相談した方がスムーズに進みます。特に女性からのセクハラに関する相談は、女性同士で話し合った方がオープンに話せるでしょう。男性からの相談もあるため、相談員の配置人数は、男性と女性1人ずつが最低限です。
また、相談員には、若手社員よりも一定の経験を積んでいる社員を選びましょう。社会人経験豊富な方が相談員になることで、経験をもとにさまざまなケースへの対応ができます。被通報者へヒアリングする際にも、経験を活かすことが可能です。
ただし、社長や役員といった会社の中でもトップクラスの役職についている人材は、相談窓口に配置するべきではないと言えます。相談者は、相談することを後ろめたいと思う人も多いです。評価などを気にして相談することを止めないためにも、ある程度の経験がある中堅社員を配置するのが望ましいでしょう。
相談窓口のシステムを作る
会社の行動指針と配置する人材が決まれば、あとは相談窓口のシステムを作るだけです。システムに関しては、相談員が相談を受けた時、相談後の調査、調査後の対応方法など、場面ごとの対応マニュアルを作成しましょう。
また、判断基準を作ることも大切です。相談内容のどこでどのように判断するのか、ハラスメント行為者のどのような行為が良くなかったのかの判断基準を作りましょう。
ただし、ハラスメントの対応は、相談内容によって対応方法や判断基準が異なります。相談によって対応方法や判断基準を変える必要があるため、一般的には相談があるごとに相談員の上長が対応の判断を下します。
ですが、上長1人だけの判断で今後の動向を決定するのは、判断結果に偏りが出てしまうかもしれません。そのため、上長が判断したあと、さらに本部で最終判断を決定する必要があります。
相談窓口の存在を社内に周知させる
相談窓口の存在を社内に周知させることは、均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法に基づく指針の「事業主の方針の明確化及び周知啓発」において定められています。
周知活動の一般的な方法としては、ポスターやチラシが挙げられます。特にポスターは、壁に貼ることで常に社員の目に入るため、相談窓口の存在を知ってもらいやすいです。
他にもオンラインの社内掲示板や社内メールなどで、相談窓口の存在を周知させる方法もあります。ですが、掲示板やメールなどでは、一度しか見なかったりそもそも1度も見なかったりする可能性があります。
オンラインの周知で見たかどうかわからない状態よりも、全従業員が通る廊下の壁やオフィス内の最も見やすい場所にポスターを貼り、確実に周知させるのがおすすめです。また、社内研修でも相談窓口があることを伝え、気軽に相談できる環境作りに取り組みましょう。
ハラスメント対策の相談窓口に寄せられる相談例
ハラスメントの代表例として挙げられるのは「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」「嫌がらせ」の4つです。それぞれ相談内容が異なるため、相談を受ける前にどのような相談が来るのかを把握しておきましょう。
パワハラでの相談
パワハラの相談内容は、主に以下の6つについてです。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
身体的・肉体的な攻撃の具体例としては、暴力や暴言などが挙げられます。そのため、善悪の判断がしやすく、対応がしやすいでしょう。
ただし、人間関係や業務内容となると善悪の判断が少し難しく、慎重に対応する必要があります。また、仕事以外のプライベートについて深く関わろうとするのも、パワーハラスメントの一部です。
セクハラでの相談
セクハラの相談内容は、「性的な内容の発言」と「性的な行動」の2つに分けられます。性的な内容の発言に関しては、以下のようなことが挙げられます。
- 性的な事実関係を尋ねること
- 性的な内容の情報や噂を流すこと
- 性的な冗談やからかいをすること
- 食事やデートへしつこく誘うこと
- 個人的な性的体験談を話すこと
- etc.
また、性的な行動としては、以下のようなことが挙げられます。
- 性的な関係を強要すること
- 必要なく身体へ触ること
- わいせつ図画を配布・提示すること
- 強制わいせつ行為
- etc.
上記は一部の例であり、セクハラの相談内容はさまざまです。ハラスメントと聞くと事業主や上司、同僚をイメージしますが、社内に限らず、取引先や顧客からのセクハラについても相談されます。
また、女性だけではなく男性も被害者になる可能性があるため、固定概念を持たずに対応することが大切です。
マタハラでの相談
マタハラとは、妊娠中や妊娠後のハラスメントのことです。
よくある相談としては、妊娠・出産・育児休業を利用したことによる不当な扱いなどがあります。代表的な相談内容として挙げられるのは、出産や育児に関する制度がなかなか利用できなかったり、妊娠をきっかけに業務から外されたりすることです。
また、妊娠したことで退職を勧められるなど、立場を利用した悪質なパターンが数多く見られます。
嫌がらせでの相談
嫌がらせに関しては、職場と業務の2つがあります。
職場での嫌がらせは、上司や同僚から勝手な思い込みで話をされるなどが挙げられます。業務における嫌がらせでは、責任転換や突然の転勤、無視などが挙げられます。
嫌がらせは精神的にもかなりのダメージがあるため、直接的な解決策の提案だけではなく、相談者に寄り添ってあげることも大切です。
ハラスメント対策の相談窓口の注意点
ハラスメントの相談は、一歩間違えれば、相談者に不信感を与えてしまいます。そうならないためにも、注意をしながら相談に乗らなくてはいけません。
また、窓口の担当者はストレスのかかる仕事であるため、企業はスタッフに対してもしっかりとケアをしてあげましょう。
相談者に寄り添った対応をする
相談者は、そもそも相談すること自体に不安を感じるのが一般的です。
相談したことで社内での立場がなくなったり、さらにハラスメントが加速したりしてしまうなど、相談者が不安を抱えてしまう要素はたくさんあります。
不安要素が大きければ大きいほど、せっかく相談に来たのに、言いたいことを言えずに相談できないといった状況に陥りかねません。相談者の悩みを解決するためには、相談者に寄り添った対応をし、少しでも信頼してもらうことが大切です。
また、相談者に不信感を抱かれたり相談しても無駄と思われたりされてはいけません。相談窓口は非常にセンシティブな話題を取り扱うため、少しでも信頼できる社員を相談窓口の担当者として配置しましょう。
プライバシーを考慮する
相談窓口を利用するにあたり、本名を名乗って相談を受けるのは、個人が特定されてしまうリスクがあります。相談したことを隠したい、公にしたくないと思う人は一定数いるため、匿名での相談も取り入れると良いでしょう。
また、相談者を徹底的に保護するのも窓口相談の役割です。相談後に、相談者探しをしたり報復したりするのであれば、相談窓口を利用してくれる人はいなくなります。
安心して相談できる窓口にするためにも、まずはプライバシーの保護を徹底的に行いましょう。
相談窓口担当者への教育とケアを徹底する
相談窓口が形だけのものにならないよう、相談窓口担当者への教育をしっかりと行いましょう。対応の質を上げるためにも、対応マニュアルの作成や相談窓口担当者の外部セミナー受講がおすすめです。
また、相談窓口担当は、精神的にとても疲れるポジションです。相談が多く負担が大きくなりすぎないよう、相談窓口担当者をケアすることも大切です。
相談窓口設置だけではハラスメントがゼロにならない
相談窓口を設置したからといってハラスメントがゼロになるわけではありません。ハラスメントは起きるものとして捉え、相談窓口の運営をして行く必要があります。
ハラスメントに関する研修を計画的に実施するなど、社内全体の意識を変え、ハラスメントを未然に防ぐ方法も取り入れると良いでしょう。
まとめ
中小企業のハラスメント対策の相談窓口設置について、ご説明いたしましたが参考になりましたか?
2022年4月には義務化となったハラスメント相談窓口の設置。設置することでコストなどの負担が増しますが「働きやすい職場づくり」としても、ハラスメント対策の相談窓口は必要不可欠です。
働いてる会社にハラスメント対策の相談窓口があるということは従業員の安心にもつながります。しっかりとハラスメントの対策をすることで、離職防止対策にもなるでしょう。
パワハラ防止法における相談窓口の義務化にも対応!2022年4月1日の義務化(中小企業)に向け、従業員が相談しやすい社外に専用の相談窓口を設置しませんか?
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KIRIHAREが提供するハラスメント機能の特徴
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ハラスメント相談窓口を設置する必要性
パワハラ防止法の施行に伴い、相談窓口の早急な設置が求められる場合があります。
▼改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)について
2020年6月1日より、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の施行に伴い、大企業におけるハラスメント相談窓口の設置が義務化されました。中小企業についても2022年4月1日より義務化されます。ハラスメント相談窓口の設置義務を怠った場合には、厚生労働大臣からの勧告や、企業名の公表といった社会的制裁措置の可能性があります。
▼ハラスメント対応の重要性
ハラスメント相談窓口では、職場におけるさまざまなハラスメント対応が求められます。職場でのハラスメントは社内で相談しにくい背景があり、社外にハラスメント相談窓口を設置する企業が増えています。
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KIRIHAREのハラスメント相談窓口の利用では、下記の2種類のパターンからお選びいただけます。
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