天才肌?ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは
ADHDとは、注意欠如・多動性障害という発達障害の一種です。
原因ははっきりとは解明されていませんが、自分の注意や行動をコントロールする部位、前頭前野の発達の先天的な偏りと考えられています。生まれつきの発達の偏りですので、育て方やしつけが原因というわけではありません。
症状は、①不注意(ケアレスミスの多さ)、②多動(落ち着きのなさ)、③衝動性(我慢ができない)と言われていて、どの症状が顕著に表れるかは人によって異なります。前述の症状は本人の性格や努力不足が原因とみられて否定的に取られることも多く、それがうつ病や引きこもりといった二次的な障害を引き起こしてしまうこともあります。
こうした特徴だけをみてみると一見マイナスに見えますが、実はADHDの人は「一点集中型」という長所も持ち合わせています。集中している最中の切り替えがうまくできないために「不注意」が、興味があるものがないと気が散りやすいことから「多動」が、興味がある事柄に対する思いが強過ぎて抑えられず「衝動性」が現れてしまうというわけです。
治療は「環境調整・心理社会的支援」や「薬」によって行われるそうです。ADHDは先天性の脳の働きの偏りに起因するので完全に治すということは難しいと言われています。そのため、自分の能力とうまく折り合いをつけ、苦手な分野をカバーする方法を身に着けることが重要となります。
環境的な支援としては、目の前の課題に集中しやすい空間を作ったり、保護者がADHDへの理解を深められるように働きかけたりするといったものがあり、心理的な支援では自己コントロールや集団行動などといったソーシャルスキルを身に着けてもらうことなどがあります。薬による治療では、症状を抑えるための薬を用います。投薬治療については極めて高度な専門性が必要な領域でもありますので、必ず医師の指示に従うようにしましょう。
興味のある分野に関しては優れた集中力を発揮できるADHD。電球を発明したトーマス・エジソンや音楽家のモーツァルト、坂本龍馬など、歴史上天才と呼ばれた人の中にもADHDだったのではないかと言われている人がいます。ADHDは障害という名前がついてはいますが、上手く噛み合えば、凡人には追いつけないほどの成功を収めることのできる逸材といえるのではないかと思います。そんな成功を支えるためには本人が自分を正しく認識することや、周りの人の理解が非常に重要です。育ちの悪さや性格と決めつけて否定的に見るのではなく、その人の個性として認識していくことがADHDの方を救うことになるのではないでしょうか。