人と違う気がする…ADHD チェック

皆さんは子どもの頃、どのような子どもでしたか?

勉強が得意な子もいれば運動が得意な子もいます。中には勉強が嫌いでずっと遊んでいたり、ついうろうろしてしまったりする子もいたかもしれません。 先生の話を聞くことに飽きてしまい、勉強どころではなく友達とおしゃべりばかりしていたり、一人でまったく別の教科を勉強していたり、ということもあるかもしれません。授業が始まる前に机上に用意をしようとして初めて、筆箱や教科書、ノートを忘れてきたことに気づいた経験もあるでしょう。

小学生の頃は、それでもある程度は大丈夫でしょう。しかし中学校、高校と進むにつれて、長い授業を受けるのも苦痛だったり、忘れ物が治らなかったり、といった人はいなかったでしょうか。

そうすると次第に、「なぜ自分はいつも忘れ物をしてしまうのだろう?」「いつも人と違っているような気がするのはどうしてだろう?」と不安に思うようになります。

実はADHDの症状が、その原因であるかもしれません。

ADHDは、注意欠如・多動症(注意欠陥/多動性障害 とも呼ばれます)といわれているものです。人間関係がうまくいかない、思ったように行動できない、仕事がうまくはかどらないなど、近年では「大人の発達障害」としても認識されているものです。

男女比としては、3対1の割合で男性に多くみられるとされています。現代の精神医学でも、なぜADHDの症状が出てしまうのか、その詳しい理由は解明されていないようです。

ADHDは脳の機能障害の一種で、脳内神経伝達物質に偏りのあることが原因だとされています。
家族や身内にADHDの症状がみられる方がいるケースもあるため、遺伝ではないかという説もあります。必ずしもそう言い切れないところもありますが、自分にADHDの症状がある人は、両親や兄弟が落ち着きのない子どもだったり、忘れ物をしやすい子どもだったりなど、多少なりとも同様の傾向をもっていたことがあるようです。
小さい頃に感染症を起こしたり、母親の妊娠・出産時に何かが起きたりしたことが原因となって、発症してしまうという例もあるようです。

 

子どもの頃からADHDの特徴を示す場合、早ければ1歳になる頃からその兆候がみられるようです。
・物事に夢中になりすぎてすぐに走り出す
・貧乏ゆすりをよくしていた
・家族で買い物をしているとすぐに迷子になる
・学校で友達と衝突しやすい
・ものを丁寧に扱えず、乱暴にしてしまう
・発言していい時ではないのに、勝手に発言してしまう
・指示されたことが上手にできない
・気が散りやすい
・約束をよく忘れる
・二つのことを同時にするのが難しい
・物事を一つひとつ順番に行えない
・言わなくても良いことをつい言ってしまうことが多い
・衝動的に物事を決める
このようなことがなかったでしょうか。
思ったとおりに行動できないことで自分を責めたり、辛い思いをしたりしている人もいるかもしれません。しかし、もしADHDであると診断されれば、物事に対処する上で非常に役立つアドバイスを受けられます。

ここで、自分がADHDかどうか簡単なチェックをしてみましょう。18歳以上の方に向けてのテストです。(ASRSーv1.1)

1 何かを行うときに、最後の最後でつまらない失敗をよくしてしまう
2 物事を一つひとつ順序立てて行うことが難しい
3 約束や、仕事の用事を忘れることがよくある
4 少し難しい仕事や、じっくりと考えながら行う仕事をつい避けてしまう
5 じっとしたままでいるのが難しく、そわそわしてしまう
6 突然スイッチが入ったかのように、急に活動的になることがある

六つのうち四つ以上あてはまる人は、もしかしたらADHDの症状があるかもしれません。三つ以下でも、やはり気になるという方は引き続きチェックを続けてみましょう。

7 単純でつまらない仕事、もしくは自分にとって難しい仕事をしているとき、ケアレスミスをすることが多い
8 単純でつまらない仕事、もしくは自分にとって難しい仕事をしているとき、長時間集中し続けることが難しい
9 自分が直接話しかけられているのに、話に集中することが難しい
10家や仕事場に頻繁にものを置き忘れたり、どこに置いたかわからなくなって探し物をしていたりすることが多い
11 大きな音や生活している上での雑音、その他の外部からの刺激で気が散ってしまうことが多い
12 真剣に座っていなければならないような場所でも、席を離れたくなってしまうことが多く、ずっと落ち着いているのが難しい
13 何もなくても落ち着かない、そわそわした感じである
14 休みの日などで時間に余裕があっても、ゆっくり体を休めたり、心を落ち着けて休めたりすることがあまりない
15 社交的な場面で、つい自分のことばかりしゃべりすぎてしまう
16 相手が話をしている途中でも、終わる前に会話を遮って自分の話をしてしまう
17 順番を待たなくてはならないときに順番を待つのが難しい、極端にイライラする
18 相手が何をしているか状況がつかめず、忙しい人の邪魔をしてしまう

これらのチェック項目は、ADHDについて十分に理解し、正しい治療や対処をするための情報を得るのに、非常に有効な手助けになると思います。

ADHDには明確な診断基準がありません。ですから、このチェックに◯個あてはまったからADHDだ、と決めつけることはできません。

むしろチェック項目が多かったり、自分で気になる点が多かったりすることで、ADHDに関する相談のできる病院を、気軽に受診するきっかけになるかもしれません。専門のお医者さんと相談してみることで、今まで生きづらさを感じていて苦しんでいた人も、楽な考え方ができるようになると思います。決して1人で抱え込む必要はないのです。

病院に行くまでもない、病院に行くなんてちょっと、とためらいがある人もいるでしょう。その場合は、学校の友達や職場で仲の良い同僚、気兼ねなく話せる上司などに相談してみてはいかがでしょうか。自分の考えている状況に共感し、一緒に真剣に考えてくれる人から、「病院に行ってみれば?」と優しくアドバイスを受けたなら、一度診察を受けてみようと思えるかもしれません。

原因がよくわからないADHDですが、社会生活をより楽に生きることのできるような治療方法もあります。
悩みを抱えたまま今の学校や会社で生活すると、望んでもいないトラブルにまた見舞われないとも限りません。不必要なストレスを抱え込み、自尊心が傷つき、自分を追い詰めてしまうおそれもあるでしょう。そうならないためにも、ADHDの症状と上手につき合って生活することが大切です。

ADHDの症状があるからといって、充実した学校生活が送れない、満足な仕事ができない、と決めつけることはありません。ADHDの症状をもつ人が努力していない、極端に能力がないということでは決してないのです。この点に関する周りからの無理解は、あなたを無駄に気落ちさせる原因ともなります。どのような勉強方法が効果的なのか、どのような分野でより良い仕事ができるのか、周囲の人たちに理解してもらうことが大切です。そうすれば、他の人以上の能力を発揮する分野も十分にあるのです。

 

最後に。自分も未だに思っているほどはできない場合が多く、悩むことも多々ありますが、それには明確な理由があると知って気持ちがとても楽になりました。
私と同じように、この記事を読んでくださったすべての方が、生活しやすく楽しい毎日を送ることができるよう、切に願っています。