うつ病患者の治療ステップ

・うつ病とは
うつ病とは、脳内にあるべき物質「セロトニン」の減少により、患者がやる気を失い、
気分が落ち込んだり、食欲がなくなったり、物事への興味がなくなってしまったりする病気です。
決して気合が足りないわけではないのです。「病気」なのですから、会社を休む権利も、堂々と休養する権利もあります。
また、多くのうつ病患者は、睡眠障害や不安障害、体の痛みなど、他の症状も抱えています。

・うつ病の症状
うつ病の症状のうち、気分障害としては、憂鬱感や絶望感、悲壮感などが発生します。
意欲も失い、これまで楽しんでいた趣味であっても継続する気力がなくなります。面白いと思っていた雑誌なども、全く面白くないと感じてしまいます。
「自分には価値がないのだ」という気分になり、最悪の場合は自殺願望をもつこともあります。
そして疲れやすい状態となり、思考力や集中力も低下傾向を示します。

身体面では、睡眠障害が発生します。
床に入ってもなかなか寝つくことができず、せっかく寝入ったとしても数時間で起きてしまう「中途覚醒」や、妙に早く起きてしまう「早朝覚醒」などの状態になることが多いようです。
人によっては頭痛が発生したり、腰痛や肩こり、体の節々の痛みに悩まされる場合もあります。
食欲も減退し、体重が減ることもあります。

また、社会的な症状としては、仕事の能率が低下したり、遅刻や欠勤が増えたりします。

・うつ病になりやすい人とは?
うつ病になりやすい人には、共通の性格がみられます。
それは、真面目であることと、責任感が強いこと、人からの評価が高いこと、道徳観が強いことといわれています。
このような人は、職場で仕事を頼まれやすいうえ、断ることができない性格のため、オーバーワークになりがちなのです。

また、一説によると、うつ病には遺伝要素もあるといわれています。

・うつ病の治療のステップ
うつ病ではないかと疑い始めたら、まずは病院を受診しましょう。
行くべき病院は、「精神科」か「心療内科」「メンタルクリニック」などです。
精神科と聞くと、まだまだ抵抗のある人も多いものですが、心療内科やメンタルクリニックも事実上は精神科です。
名称が異なるだけでも、病院へ足を運びやすいのではないでしょうか。

次のステップは、休養です。ストレスフリーの生活を目指すのです。
ストレス要因が職場であったら、休職するのも一つの手段です。
もし、ストレス要因が家庭にあるのであれば、一時的に入院する手段もあります。
また、家族と一緒に医師のもとを訪れ、詳しく説明を受けるのもおすすめです。
患者に対して、言ってはいけないワードやしてはいけないアクションが多数あるうえ、家族によっては精神薬を飲むこと自体を快く思わないケースもあるからです。
家族全員が、うつ病に対する正しい知識を身につけることが大切です。

次には、定期的にカウンセリングを受けます。
カウンセリングでは何を話しても構いません。自分が困っていることをなんでも医師に伝えます。
たとえ話すのが苦手でも、精神科医は患者の話を上手に引き出してくれます。
また、医師からは薬が処方されますから、指示通りに服用しましょう。
自己判断による薬の調整は、危険ですのでやめましょう。

休養中には自分を見つめ直すことが大切です。
特に、うつ病にかかりやすい性格には傾向があります。先にも説明したとおり、良い性格ばかりです。
しかし、その性格こそが自身を追い込む羽目になっています。自分に無理をさせないよう、行動パターンを変える意識を身につけることも大切です。

回復期には、社会とのつながりを徐々に戻していきます。
たとえば、地域のサークル活動などに参加するのもおすすめです。
また現在は、公的機関や民間の病院でも職場復帰プログラムを実施していますので、それらに参加するのも良いでしょう。