「ひとりになりたい」時も大事にしよう!

「ひとりになりたい」ときも大事にしよう!

 

友達や恋人、パートナーなどに「ひとりになりたい」と切り出され、戸惑った経験はありますか。
もしくは、ふと「ひとりになりたいなぁ」と思った経験はあるでしょうか。

 

日本では、「みんなで何かをすること」が正義と思われがちな風潮があります。「ひとりになりたい」という欲求が、「自分勝手」「自己中心的」と評価されることもしばしばです。
しかしひとりになるという行為は、心を健康に保つために、時として非常に重要な役目を果たします。

もちろん、生まれつき「ひとりになりたい」と思うことがなく、ひとりの時間が必要ないタイプの人もいるでしょう。しかしその場合は、「ひとりになりたい」とだれかに切り出されたとき、非常に戸惑うことになります。

なぜ「ひとりになりたい」と思うのか。
どうしてひとりの時間が必要なのか。
本当にひとりにして大丈夫なのか。

「ひとりになりたい」と思ったことがある方も、言われたことがある方も、一緒に考えてみましょう。

 

そもそもなぜ、「ひとりになりたい」と考えてしまうのでしょう。
人間は群れで生活する生き物です。ですから常に、会社やクラブなど、なんらかの集団に属して生活しています。
しかし、集団の中にあり続けるには、大変なエネルギーが必要です。

例えば、集団の中で人は必ず役割を分担します。

会社であれば「部長」や「係」などの役職を担当します。
家族であれば「主婦・主夫」「家事担当」「育児担当」などの役割を担います。
友達同士でも「ムードメーカー」「まとめ役」など、無意識のうちに役割が与えられているはずです。

 

こうした役割を、自然に担うことのできる人がいる一方で、がんばって演じている人もいるのです。

しかもこのがんばりは、なかなか認められることがありません。
多くの場合、当然のこととして処理されてしまいます。

がんばり屋さんの心身には、疲れがたまる一方です。精神的にも肉体的にも、どんどん追い詰められてしまいます。

たまにはこの役割を離れ、日常から抜け出したいと願望するのは、与えられた役割に疲れてしまったからです。
他人のためにエネルギーを使うのに疲れ、ひとりになることで充電したいのです。

 

また、生まれつき「ひとりになりたい」、「ひとりの時間が好き」という人もいます。
生まれついた環境によるのか、遺伝的なものなのかはわかりません。一人っ子として育った人や子供部屋があった人に比較的多いといわれますが、必ずしもそうとは限らないようです。

こうした人には、他人とのある一定の距離、「パーソナルスペース」が必要です。
他人と一緒にいるのに心地よい距離が、少し多めに必要なのです。

孤独に強く、多趣味なこともあり、積極的に他人とかかわろうとしないケースもあるようですが、だからといって人嫌いとは限らないようです。
むしろ他人を優先し、協調性を重んじ、愛想よくふるまっているからこそ、人より疲れてしまう、という場合もあるようです。

 

中には、人より傷つきやすかったり孤独に弱かったりするからこそ、ひとりでいることを求める人もいます。
この場合には、ある程度アプローチをかけた方が喜ばれることもあるそうです。

 

精神的に大きなダメージを受けた際、一時的に「ひとりになりたい」と考える場合があります。
大切な人を亡くしたとき、だれかとけんかをしたとき、怒られたときなどです。
混乱したり、感情が不安定になったりしたとき、ひとりになりたいと強く思うのです。

いずれの場合にも共通するのは、疲れてしまったため、言い換えると「自我コントロール」ができずいつも通りの自分になれないから、「一人になりたい」と願うのだということです。
自分の心の中や精神状態などを整理する時間が必要なのです。

 

このように「ひとりになりたい」と考える人は、ひとりの時間に一体何をしているのでしょうか。その過ごし方を知ることで、なぜひとりの時間が必要なのかがみえてきます。

 

定番の過ごし方は、ひとり旅でしょう。
美しい夜景、海、自然などを眺めることで日常から解放され、心をリフレッシュすることができます。
「だれかと一緒にいた方が楽しいじゃないか」と思うかもしれませんが、ひとりになることで実感できる楽しみもあるのです。ひとりだからこそだれに合わせることもなく、好きなだけ景色を眺め続けることができます。

旅行先で温泉に入ったり、ドライブをしたり、好きなものを食べたりして過ごすのも、ストレス解消の手段です。ひとりだからこそ、「自分の意志で行動している」という自信や解放感を得ることができます。
自分はどこに行くのが好きなのか、本当に好きなものは何なのかを、改めて確認する作業でもあります。だれかに気を遣って無理やり好みを合わせてしまう、という必要もありません。

旅先でホテルに泊まり、ひとりの空間で過ごすことも、自分自身と向き合うよいきっかけになります。
気持ちを落ち着かせたいときなどにおすすめといえるでしょう。

 

カラオケやジムなどで、ストレスを発散する過ごし方もあります。
「カラオケこそだれかと楽しむものだろう」と思うかもしれません。
しかしひとりカラオケには、他人への迷惑を考えず大声を出すことができるというメリットがあります。
選曲も自由で、マニアックなナンバーや、他人がいるとちょっと恥ずかしいような曲も楽しめるほか、歌の技術を高めることができます。

ひとりの運動は、完全に自分のペースで行うことができます。自身のスキルアップにつながる上、頭を空っぽにしながらのリフレッシュに最適です。

 

家の中でのひとりの時間にも、さまざまな過ごし方があります。
音楽を聞いたり、読書をしたり、映画を見たり、ゲームをしたり。
ひたすら寝続けるのもまた、大切な過ごし方のひとつといえるでしょう。
こうして自分だけの世界に閉じこもることで、現実との接点を一時的に断つことができるのです。

 

ひとりの過ごし方に共通しているのは、現実から距離を置いているということです。
どのような関係性でも、他人が一歩介入するだけで、その人にとっては離れてしまいたい「現実」が立ちはだかり、ストレスを与えてしまいます。
現実とは異なる世界でひとりの時間を楽しんでいる間は、そっと見守るのが正解なのかもしれません。

 

しかし、いざひとりになろうとしても、他人は簡単に放っておいてはくれません。
ただ「そっとしておいてくれ」と言われても、言われた側はどうしたらよいのかわからず、不安になってしまうからです。
だからこそ、「ひとりになりたい」と思ったときや言われたときには、双方にある一定の気遣いが必要です。

 

「ひとりになりたい」と思ったときは、事前に周囲の人たちに自分の希望を伝えておきましょう。
どのくらいの期間(目安でもよい)、どの程度放っておいてほしいのか、大まかに伝えます。
例えば、「三日ほど旅行に行ってくるので、その間は放っておいて」といった具合です。「ひとりになりたい」と急に姿を消すと、相手にも心配をかけてしまうからです。

そして帰ってきたときには笑顔でいられるように、目一杯楽しめる過ごし方を心がけましょう。
自分を否定し続けたり、気持ちが落ち込み続けたりするようなら、ひとりになるのは危険です。ひとりになることで良い効果が得られるときだけ、他人と距離をとるようにしましょう。

毎回笑顔で帰ってくることがわかっていれば、相手も安心してひとりにしてくれるはずです。

 

「ひとりになりたい」と言われた側の人は、まずは相手の希望通り放っておいてあげましょう。
こちらから連絡はせず、相手からの連絡を辛抱強く待ちます。
「メールぐらいはいいじゃないか」と思うかもしれませんが、相手にとってはメールであっても、自分の時間を邪魔する「現実」です。
むしろメールをすることで相手を追い詰めてしまったり、スマホの電源を切られて重要な連絡ができなくなったりするかもしれません。

 

それでもどうしてもじっとしていられない、不安だ、という場合は、次に会ったときのための準備をしておきましょう。
次に会ったとき、一緒に何をするか考えるのはいかがでしょう。
旅行の計画などを立ててみるのもよいでしょう。
今はひとりでいたい相手も、元気いっぱいになった頃には、一緒に旅行に行きたいと思ってくれるかもしれません。

 

相手が恋人なら、自分磨きもひとつの方法です。体づくり、料理、メイク、ファッション、知識、教養など、自分磨きの方法は無限大です。
帰ってきた頃に見違えるほど格好よく、あるいは美人になっていたら、相手も惚れ直すかもしれません。

 

そして何より大事なのは、「ひとりになりたい」ほど疲れていた相手を、きちんとねぎらってあげることです。
可能であれば、少しずつ手伝いもしてみましょう。分担することで、相手の「ひとりになりたい」時間を、少しずつ「ふたりでいたい」時間に変えていくことができるかもしれません。

 

いかがだったでしょうか。
「ひとりでいたい」心理は、ともすれば誤解を生みがちなものではありますが、必ずしも人間関係における障害となるわけではありません。
むしろ、「ひとりでいたい」時間があるからこそ育まれるもの、豊かになっていくものもあります。

 

もし「ひとりになりたい」友達や恋人がいたら、自分だったらどうしてほしいか考えてあげてください。
そして、「ひとりになりたい」のに放っておいてもらえないときは、相手にその気持ちを伝えてみてください。

きっと何かが、あなたの周りで変わり始めるでしょう。

 

「ひとりになりたい」時間も大切に、心豊かな毎日を過ごしていきましょう。