落ち込みとうつ病の違いと受診の目安
一体どこからうつ病で、どこからがうつ病ではないのでしょうか。
気分の落ち込みは誰にでもありますし、無気力で何もやる気がしないという症状は、日常生活を送る上で誰にでも起こりえることといえます。まさか自分がうつ病であるはずはない、と考える人も多いでしょう。
うつ病などの精神疾患は、肺炎やインフルエンザのように、採血やレントゲン等の検査で診断できないのが現状です。精神科医はある程度の診断基準で判断するものの、基本は問診が中心となります。
奇異に聞こえるかもしれませんが、適切な治療を受けるには、うつ病とはどのようなものなのか、よく知っておく必要があります。つまり、受診が必要な状態なのか、そうではないのかという判断基準を、患者の側もあらかじめもつことが大切なのです。こう考える人は少なく、知らない人も多いようですが、意外にも一番重要なことといえるでしょう。
適切な治療を受けず放置していると、症状固定といって内服による治療をしても改善されないケースもあり、注意が必要です。病気に関しての基本は、予防と早期発見・早期治療であり、それはもちろん精神疾患にもあてはまることなのです。
病気としてのうつ病とは、「日常生活に支障をきたす状態になったとき」といえます。どういう意味だろうかと思う方もいることでしょう。例えば睡眠がとれず仕事ができないとか、集中力が低下し日常の作業がままならないとか、つまり今まで問題なくできていたことができない状況に気づいたら、それが要注意のサインです。
ただ、これを自分で客観的に判断するのは、かなり難しいことです。ではどうすればよいかというと、最善な方法は、例えば妻や両親、兄弟などの親族や親しい友人に、客観的に判断してもらうことです。身近な存在から自分の変化について教えてもらうこと、それが有効な手段といえるでしょう。
そのためにも、少々話しにくい内容やプライベートな事柄でも心おきなく打ち明けられる相手を、一人はつくっておくことをおすすめします。
これは精神疾患の予防それ自体にもつながる、一石二鳥の方法といえるでしょう。