非定型うつ病の特徴について
非定型うつ病とはどのようなうつ病なのでしょうか。
この記事では誤解している人が多い非定型うつ病について説明します。
非定型うつ病は従来のうつ病(メランコリー型うつ病といいます)とは違う特徴をもつ新しいうつ病です。普通のうつ病と非定型うつ病には主に以下のような違いがあります。
普通のうつ病は、病気になる前の性格に特徴があります。それは真面目、几帳面、他者を配慮するというものです。こういった性格をメランコリー親和型性格といいます。真面目で几帳面なあまり、集団の中で自分の果たすべき役割を果たさなければならないと強く思いすぎるあまりに発症してしまいます。しかし非定型うつ病の場合、必ずしも病気になる前の性格にそういった特徴はありません。新型うつの病前性格としてディスチミア親和型性格というものが定義されています。メランコリー親和型性格の場合は集団への帰属を強く意識する性格傾向ですが、ディスチミア親和型性格の場合はどちらかと言えば自分自身を強く意識する性格傾向であるといえます。
これらの性格傾向は従来型のうつ病や新型うつと親和性がありますが、この性格傾向の人全員がうつ病になるわけではありません。
発病する時期にも違いがあります。普通のうつ病は40代〜60代の中高年に多いのですが、非定型うつ病は10代後半〜30代前半の青少年や若者に多いです。非定型うつ病は学生時代や働き始めてすぐに発病することが多いので、普通のうつ病以上に病気が患者さんに与える社会的影響が大きくなりやすいです。適切に治療をしないと、不登校や学校の中途退学、ひいては社会に出られなくなってしまうこともあります。非定型うつ病の場合は特に学業や仕事に与える影響も考えながら治していくことが重要になります。
また、普通のうつ病の場合は、趣味や友達・家族・恋人との関わりなどの楽しいことも楽しめなくなってしまうのに対し、非定型うつ病の場合は楽しいことは楽しめる傾向があります。また、普通のうつ病は何があっても嬉しく感じられないのに対し、非定型うつ病の場合は良いことがあると嬉しく感じられることもあります。そのため周囲からは甘えていると誤解されがちです。しかし非定型うつ病は決して甘えではありません。楽しいことや嬉しいことがあると一時的に気分は晴れるものの、またすぐに重い憂うつな気分に襲われてしまい、患者さんは強い苦しみを抱えています。
非定型うつ病は特徴的な食欲不振や不眠などの普通のうつ病に特徴的な症状がみられなかったり、先ほど述べたように気分が晴れることもあったりすることから、他の人になかなか苦しみを理解してもらえないことがあります。しかし患者さんは強い憂うつによって生活や将来を狂わされて苦しんでいます。非定型うつ病の人を無知によって苦しめないこと、自分が非定型うつ病かもしれないと思ったら甘えだと我慢せずに周囲の人に相談したり病院を受診することが重要です。