小さなことで改善できる メンタルヘルス問題を発生させない職場づくりのポイント3つ
メンタルヘルスの問題は、様々な原因で生じるとはいえ、いくつかのポイントを押さえた職場環境づくりを意識することで、かなりの部分を予防できるのではないかと感じます。
今回は、法人経営者でもあり、公認心理師、臨床心理士、キャリアコンサルタントでもある筆者が実例をもとに『メンタルヘルス問題を発生させない職場づくりのポイント3つ』についてお話します。
◆こちらの記事はこんな方にお勧めです
〇「休職者」が繰り返し出てしまう
〇職場環境を改善しようとしてもうまくいかない
〇職場のなかのギスギスした雰囲気が改善しない
仕事柄、様々な職場にお伺いすることが多いのですが
例えば、同じ「学校」という現場でも、その現場を構成する「先生方」「児童生徒さんたち」によって、まったく雰囲気が異なります。
義務教育、教員免許、同年齢という比較的、全国均一のはずの同一種別の学校であっても明らかに違うわけですから、その原因は
「制度」
というより
「人」
でしょう。
言うまでもなく、会社さんでは、やっていることも違えば、経営状況も違いますし、規模も違うので、さらにその多様性は増します。
また、会社の経営に関しては、社長さんを含め、いろいろな経営方針がありますから、
「似たようなところ」
というのも、あまりないと思います。
一方で、みんな人であることは変わりありませんから
あまり良くない雰囲気の学校では、職員室でもなんだか気まずい雰囲気があったり、不登校が多く感じられたりしますし、会社さんであっても、雰囲気の良し悪しは、そのまま社員さんの仕事ぶりに影響しているような印象を持ちます。
ポイントの一つ目は、
『雰囲気を整えること』です。
ただ、どんな会社さんであっても、全部の場所を整えるのは難しいのが通常です。
ですから、例えば、一番良くわかるのは『お手洗い』と『玄関(エンタランス)』のところです。
玄関については、比較的気を付けている会社さんが多いですが、それでも
『第三者的な目で見ていない』
という場合が良くあります。
具体的には
・傘立て(壊れたものや、忘れられたままのものがないか。汚れがたまっていないか)
・下駄箱(スリッパがボロボロでないか。入っている靴が汚い。
ネームの剥がれ。サビだらけ)
・ガラス(手あか。汚れ。ほこり。ヒビをガムテープでとめている)
・天井(ほこり。くもの巣。天井板の汚れ。雨漏り跡。)
・壁紙(剥がれ。汚れ。掲示物の跡だらけ)
・ポスターなどの掲示物(古いポスターや掲示物が張りっぱなし。余計な画鋲やクリップ)
などでしょう。
イメージしていただけるとわかると思うのですが
こうした会社に入ってきたときに、元気になりますか?
トイレも同様ですが、
建物や設備の新しい、古いではなく、気持ちが行き届いている場所、というのは気持ちよいまで行かないとしても「気分が悪い」ということを避ける効果があります。
私も職場で玄関先の掃除や水槽の水替えなど自分でやります。
トイレは、職員が当番表をつくって順に担当しています。
みんな快適ですので、玄関の花が変われば気づきますし、水槽がきれいになれば
「ありがとうございます!」
と声がかかります。
次のポイントは、この
『具体的に声がかかる環境』を作ることです。
『対人関係療法』と言う心理療法があるのですが、
「うつ病」などが発症しやすい夫婦のコミュニケーションというのは、非言語コミュニケーションがとても多いのです。
例えば、
『ただいま』(※『なんだよ、ご飯もまだできてないのか』 ドアを「ドン」と強く閉める)
「あら、おかえりなさい。ずいぶん早いのね」(ため息をつきながら、ちらっと一瞥するだけ)
『今日の晩御飯はなに?』(カバンと上着を放り投げる)
「いま準備してるから」(「急いでるのがわからないのかしら。手伝ってくれたらいいのに」スリッパを忙しそうにバタバタ鳴らし、料理の皿を乱暴にテーブルに置く)
こんな感じです。
「セリフ」の部分だけを見れば、ある家庭のやり取りですが、その具体的な場面が見えてくると、非常に雰囲気が悪いですね。
会社の中であれば
・「この書類、明日までお願いできるかな」(デスクの上に放り投げる)
・パソコンの電源を立ち上げる(「はぁ・・・」と大きなため息をつく)
とかいわゆる「言外の言」がたくさんある場合です。
これは、習慣化してしまうとそのままメンタルヘルスの問題につながっていくことがありますし、周囲を不快にするコミュニケーションですので、一番手っ取り早い方法は、職場研修などと称して「社内コミュケーション」の研修会を外部の人にやってもらうのです。
これを、内部の人間だけで改善しようとすると、その人の行動を指摘したり、それが不快であることを伝えあったりする必要が出てきて、なかなか苦戦するはずです。
私が研修会などでよくやる方法は、ゲーム形式なのですが
3人か4人一組になって、『レゴブロック』の7種類くらいのピースを人数分そろえておきます。
代表の人、一人に、まず自分が好きなように、その7つを組み合わせてもらい、他の3人に見せないようにしてもらいます。
代表の人は、自分のブロックの「色」と「形」、「組み合わせ方」を、他の3人に見ることなく、「言葉だけを使って」説明し、他の3人も、代表の人と同じものを作れるように、導いてもらいます。
これをやりますと、
「なんだよ、そうじゃないって!」(ドンと机をたたく。嫌な顔をする)
などのコミュニケーションが、ほとんどの人に見られます。
つまり
『言葉を使ったとしても、相手が同じ理解をすることは難しい』
と言うことを「体験して」「理解して」「気づいて」もらうのです。
「さらに、ブロックのような具体物でない、人の気持ちは理解できるか」
というと、これは無理でしょう。
職場内のコミュニケーションのゆがみは、メンタルヘルスの対策上、ぜひ改善することが望ましいですが、外部の方の力を借りるのも一つの手です。
3つ目のポイントは、
業務上の進捗については、管理職の方であれば、ご自身で責任を持つことです。
当たり前だと思う方も多いと思いますが、メンタルヘルスの問題が多く出る職場では、業務の成果、進捗について、社員任せのところも案外みられるのです。
ですから、締め切りに間に合わない、などの状態がでると、
「いったい何をやっていたんだ」
と社員の方を叱責することになり、業務上のトラブルも必然的に増えます。
大規模な会社でしたら、中間管理職の方がいますが
それほど規模が大きくない会社さんでしたら、業務進捗は管理職の方がしっかり把握し、失敗しない程度、事前の段階で確認作業をして、間に合わないようであれば、早めの対策で間に合うようにしていくことの方が重要です。
管理職の役割は、「業務評価」もありますが、悪い結果とならないように「業務管理」をすることも当然のことながら重要で、失敗した場合の責任は、最終的には「管理職の管理不足である」ということに尽きます。
以上、3つのポイントに当てはまる部分だけでも改善しますと、
メンタルヘルスの課題はかなり緩和されるはずです。
できるところから、お試しいただければと思います。
KIRIHARE所属 臨床心理士
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