メンタル不調者が出たときに、管理職が面接する最低限のポイント
今回は、「メンタル不調者が出たときに、管理職が面接する最低限のポイント」をテーマに、
法人経営をしている公認心理師、臨床心理士、でもありキャリアコンサルタントでもある筆者が、メンタル不調者が出た際に失敗しない初期対応のポイントをお話しします。
今回のコンテンツはこんな方におすすめです。
・メンタル不調者が出た際に失敗しない初期対応を知りたい
・今のところ不調者は出ていないが、一応備えておきたい
・かつて不調者が出た際に失敗した
職場からメンタル不調者が出るということ自体は特に珍しいことではありません。
「うつ」という状態だけを考えても、多くの職場で対応が必要となっていますし、わたしたち誰でも、そういう状況になりうると考えておいてよいでしょう。
しかしながら、管理職として、従業員のメンタルヘルス問題に対応する際には失敗してはならないポイントがいくつかあります。
わたしたちのようなEAPサービスを活用されている企業であっても、まったく初期にあたる対応は、管理職の方がされる場合が多いはずです。
すでにメンタル不調を抱えている従業員に対して、何を聞いたらよいのかをまとめておきましょう。
今は、多くの管理職の方がコーチングやカウンセリングの基礎的な技法を学んでいることと思います。
ところが、前回のお話でもしたように、その学びが間違った解釈をされていることが少なくありません。
例えば、カウンセリングでは、受容と共感、ということが重視される、と教わっている場合が多いと思います。間違いではないのですが、特に初期のメンタル不調者との面接についていえば、相手の話に共感を示してばかりでは必要な事項が聞けないのです。
また、ちょっと誤解されている方が多いのは、昨今の「ハラスメント」の考え方に過敏になりすぎているのか
『個人的なことを聞いてはいけない』
と考えている方も少なくありません。
ハラスメントというのは、『業務に関係ないのに』という前提があるわけです。
ですから、まずは最初に従業員の方には
『現在、業務に支障が出ていることや、今後の従業員の方の支援にかかわるので、話を聞きたい』
と依頼することです。
また、その際はできれば1対1ではなく、企業内の産業カウンセラーか、もしくは中立的な社員に、しゃべらなくていいので一人同席してもらいましょう。
のちのち、面談のことについて不満を持たれた場合にも、1対1は避けたほうが無難です。
面談が始まったら、まずは次のことを伝えましょう。
『体調の不調があるようだが、
会社としては誠意をもって対応したいと思っている』
これを最初に表明しておかないと、その後に何を言ってもダメです。
こう述べたうえで
『そのために、必要な情報を教えてほしい。教えてもらった情報をもとに、復帰をしっかり支援していきたい』
さらに
『聞いたことに関しては、必要な守秘をする』
ことも話しましょう。
この段階では、カウンセリングというよりは、「聞き取り」なのです。
こんなに聞いていいのか?
と思うかもしれませんが、一番困るのは、いざという時に何も情報を持っていないことです。
ですので、カウンセリングであっても、最初の一回目というのは、必要な事項の聞き取りをしっかり行うのが通常です。
さて、必要な最低限の事項を上げておきます。
・現在の病状(自覚)
・医師の判断や所見、診断、治療の見通しや投薬の有無
・通院している病院と担当医
・通院頻度、入院の必要の可能性
・自宅、連絡先等に変更はないか
・現在、自身を支えてくれる家族や親などはいるのか(生活はできているのか)
・緊急の場合の連絡先(本人と本人以外)
・業務上の配慮、担当者間のやりとりについて
仮に15分から30分程度の面談をするとして、『尋問』するのではなく
「そうなんですね」
「なるほど」
「わかりました」
というような、『受容的な雰囲気と応答』で行います。
この面談については、もちろんしっかり記録をしましょう。
内容が盛りだくさんとなりましたが、メンタル不調者の初期対応は、大変重要です。
管理職として、自身で面談することは必要と思われますが、私たちのようなメンタルヘルスを請け負う会社にはカウンセラーがいますので、もし不安がある場合には、事前に管理職の方からの相談をしていただけたら、面談の参考になるのではと思います。
KIRIHARE所属 臨床心理士
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