近年増加している躁うつ病とは
【1】躁うつ病とは
躁うつ病とは、現在「双極性障害」と呼ばれている病気です。
アメリカ精神医学会の診断基準に基づくと、「躁状態とうつ状態という二種類の病相を繰り返す病気」です。
【1.1】躁状態
躁状態とは、体の調子や感情、気分が高揚する状態です。躁状態では、以下のような症状が現れます。
・うきうきと楽しくて仕方ない(気分高揚)
・寝なくても平気(睡眠時間の減少)
・人と話すときに止まらない(多弁)
・聞く人にとって全くまとまりのない発言をする(錯乱)
・自分が人より優れていると思う(誇大性)
・活動量が多くなる(活動性亢進)
・話す内容がバラバラでまとまりがない(観念奔逸)
・感情の差が大きく、怒りやすくなる(易怒性)など
【1.2】うつ状態
うつ状態とは、体の調子や感情、気分が沈み込む状態です。うつ状態では、以下のような症状が現れます。
・よいことがあっても落ち込んだ気分が続く(抑うつ状態)
・今まで関心があったものに興味をもつことができなくなる(興味喪失)
・食欲がなく、体重が何kgも減ってしまう(体重減少)
・すべてがおっくうでやる気が出ない(意欲低下)
・夜寝つきが悪く、朝早く目覚める(不眠)
・自分が悪いと責める(自責)
・死にたいと思う(希死念慮)
・何をしても疲れる(易疲労感)など
【1.3】混合状態
躁とうつの症状が同時に現れる状態です。
【2】躁うつ病の原因
現段階では、躁うつ病の原因は解明されていません。
【3】躁うつ病の診断
躁うつ病の診断は容易ではありません。
患者は、調子がよいと思うとき(躁状態)は通院せず、調子が悪いと思ったとき(うつ状態)のみ病院に行くためです。
躁うつ病が、しばしば「うつ病」と誤診されるのはこのためです。躁うつ病と正確に診断されるまで、平均7.5年かかるといわれます。
躁うつ病の診断には、「双極性障害Ⅰ型」と「双極性障害Ⅱ型」の二種類が存在します。
「双極性障害Ⅰ型」では躁状態とうつ状態がはっきりと生じ、「双極性障害Ⅱ型」は軽い躁状態とうつ状態を繰り返します。
【4】躁うつ病の治療
一時的に病状の出ない「寛解」が治療目標となります。
そのため、躁うつ病の治療目的は、躁状態とうつ状態の再発を防いで日常生活に支障が出ないようにすることです。
【4.1】薬物療法
躁うつ病の治療で重要な予防療法の一つが薬物療法です。
さらに、一度起こった躁状態とうつ状態に対しては、ダメージを最小限に抑え、できるだけ早く回復することが大切です。
ですから、躁状態とうつ状態のそれぞれに対して、回復を促す治療を行います。