漫画で知るADHD

ADHD(注意欠陥多動性障害)について、近年様々な媒体を介して知ることができるようになりました。中でも、気軽にかつ分かりやすく読むことのできるのが、漫画作品です。

 

漫画とADHDが結びつく先駆けになったのは「のび太・ジャイアン症候群」なる言葉の誕生ではないでしょうか。これは医師・司馬理英子先生の造語で、日本にADHDという概念をあまねく広めるきっかけとなりました。無論、漫画「ドラえもん」の登場人物であるのび太とジャイアンが、その典型的な症例を示していることに由来する造語です。

のび太は、引っ込み思案で自己主張ができず、すぐ忘れものをしてしまう、ぼーっとしていることが多いなどの不注意優勢型。片やジャイアンは、短気で落ち着きがなく、人のものも自分のものにしないと気が済まない、怒りっぽくてすぐに手が出るなどの多動・衝動性優勢型として紹介されています。

 

このあと、ADHDに関する様々な漫画が描かれるようになってきます。
ADHDを詳しく説明しているものとしては、「ブラックジャックによろしく 大人のADHD編」(日本イーライリリー株式会社)が、疾患啓発冊子として発刊されています。これは、ネット上でも無料で公開されています。

 

ADHDである人の自伝的なエッセイも出されています。例えば、

「47歳漫画家 ADHDと仲良く暮らしています。」 松田 望 (著)

「ADHD脳で人生楽しんでます!」 あーさ (著)

などです。これらには、大人である著者が、自身のADHDといかにポジティブに上手に折り合って暮らしているか、ということが明るく描かれています。

 

他には、育児エッセイの漫画も出ています。

「生きづらいと思ったら親子で発達障害でした」 モンズースー(著)

母親がADHDで、子どもも発達障害のグレーゾーンだったという話で、子どもが赤ちゃんの頃からの子育ての様子が描かれています。現在では、入園編、入学準備編までが出版されています。

『うちの子はADHD 反抗期で超たいへん!』(著:かなしろにゃんこ。 監:田中 康雄)
漫画家でもある著者のお子さんがADHDで、その様子を母親としての体験をもとに描いています。すでに成人した子供について、幼少期から成長するまでの様子が連続して描かれた作品は希少であり、それがまた大きな魅力です。

 

このように、ADHDの当事者によって描かれたエッセイ漫画は、より身近に親近感をもって読むことができます。また、日常生活に根差した困り感や、対処方法なども含めて描かれており、今後の対応の参考にもなります。

これらの漫画も一度読んでみると、ADHDを知るための良いきっかけとなるのではないでしょうか。