うつ病の初期症状を知って、早めの受診を
何かとストレスの多い現代社会。
そのストレスにさらされた結果、うつ病を発症する人がかなり存在します。
厚生労働省のサイトによると、「約15人に1人が、生涯のうちにうつ病を体験する」とのことです。
多くの人が悩まされるうつ病の、初期症状について説明します。
まず、顕著に表れるのが睡眠と食事。
不眠といっても全く眠れないのではなく、
眠りが浅い、なかなか寝付くことができない、といった症状があります。
なかなか寝付けないでいるときに
自身の抱える不安やストレスについて思い悩み、ますます眠れなくなるなど
本人にとっては非常に辛い症状が続きます。
うつ病での睡眠障害には、「いくら寝ても眠い」という過眠の場合もあります。
ですから、「うつ病=不眠」とは解釈しないほうがよいでしょう。
食事に関しても、食欲不振ではなく過食になる場合もあります。
元気にもりもり食べると、一見健康に見えますので、
ご家族も「食欲旺盛でよいことだ」と思ってしまいがちです。
しかし、過食も初期症状のひとつに数えられていますから、注意が必要です。
人間の三大欲求のうち、「食欲」と「睡眠欲」に異常が出ている状態。
すなわち、食と睡眠それぞれの意欲低下につながっている状態。
それこそが、うつ病でみられる初期症状の大きな特徴です。
三大欲求のもうひとつ「性欲」についても、もちろん意欲が低下します。
また、好きだったものに対して興味を失うことが多いのも、特徴のひとつです。
その他の初期症状としては、
・漫然とした不安感が続く
・常に疲れているような感じがする
・楽しいと思えない
・笑顔が作れなくなった
・仕事でミスが増えてきた
などが挙げられます。
ひどい場合だと「死んでもいい」と思うこともあります。
ここまでくると、大変深刻な状態です。
速やかに病院を受診することを強くおすすめします。
その他の症状として、意外に知られていないのが「のどの違和感」です。
咽喉頭異常感症、一般的には「ヒステリー球」と呼ばれています。
筆者の場合、うつ病から回復し復職したものの、強いストレスが続き、のどに違和感が生じてきました。
初めは何だか飲み込みにくいな、という程度だったものが次第に強くなり、
最終的にはゴルフボール大のものが、のどにゴロゴロしているような感覚になりました。
その後、先に述べたような症状が現れ始めましたが、
忙しくて病院に行かなかった結果再発。休職後、退職しました。
ヒステリー球というものの存在を知ったのは、それからずっと後のことになります。
もともと精神的なものに由来する「のどの違和感」であれば、
耳鼻咽喉科などを受診しても、異常は発見されない場合が多いことでしょう。
ですから、異常はないと診断されたのにのどがおかしいという場合は、
何かストレスを抱えていないか考えてみるのも大切です。
うつ病は「心の風邪」などと表現され、
発症する人も多いために軽く考えられがちですが、
放っておくと自死につながりかねない重大な疾患です。
本人の意欲が低下しているため、自身では病状を把握していない場合もあります。
この記事を読んで、先述の症状に心当たりがある方は、なるべく早く受診してみましょう。また、家族や周囲の人にこのような症状がみられる場合は、本人に受診をすすめてみてください。
たとえ軽症であっても、休息のみで改善を望むのは危険です。
うつ病は、発症以後の受診が早いほど、早く治ります。
特にうつ病にかかりやすいと言われる
・まじめな人
・完璧主義の人
・責任感が強い人
は注意が必要です。
これらの性格は、一見好ましいもののように思われますが、
「融通が利かない」「思考の柔軟性に乏しい」といった面をあわせもつ場合が多いからです。
そのような方の場合、できるだけ早く病院に行くことで早い回復が望めますし、再発の防止にもつながります。
ご自身のもつ性格の特性、またうつ病の初期症状を知っておくことで
うつ病を重症化しないように注意してくださいね。