不安症状が強い病気

・不安症状が現れる病気は?
不安になることが多い病名には、「アジソン病」「うつ病」「強迫症」「更年期障害」「自律神経失調症」「パニック障害」「不眠症」「適応障害」などが挙げられます。

・アジソン病
慢性副腎皮質機能低下症の一種であるアジソン病は、免疫反応などに関わりの強いコルチゾールやアンドロゲン、アルドステロンなどの副腎皮質ホルモンの分泌が、慢性的に低下する病気です。
特に、副腎皮質自体の病変による原発性のものをアジソン病と呼んでいます。
1955
年に、イギリスの内科医トーマス・アジソンが発見したことに起因する病名です。
この病気の原因は、結核などのような感染症、自己免疫疾患、がんの転移などによる後天性のものと考えられており、難病に指定されています。
ちなみに、続発性の副腎皮質機能低下は、ホルモンバランスをコントロールする下垂体の副腎皮質刺激ホルモンの分泌不全によって引き起こされます。

・うつ病
うつ病は、脳内物質セロトニンの減少により引き起こされる疾患です。憂鬱な気分や不安感が強くなるという症状が現れます。
物事に対する興味を失ったり、疲れやすくなったり、活動性が減少したりするなどの症状も引き起こします。
ときには、身体的な症状を伴うこともあります。
もともと、憂鬱な気持ちや不安感は誰もが抱くものですが、これが長期間改善されなかったり、日常生活への支障が出たりする場合、「病気」として捉えられます。

・強迫症
強迫症は、強迫観念と脅迫行為が特徴の病気です。必要以上に手を洗ってしまったり、ドアに鍵をかけたか心配で何回も戻ってしまったりなど、強迫観念に基づく行動を繰り返します。
度を越した不安やこだわりがありますが、病気とは気づかずに生活している人も多いのが特徴です。
うつ病など、他の精神疾患と併発していることも多い病気です。

・更年期障害
更年期障害は女性に多い疾患で、閉経前後の45歳~55歳くらいの期間に発生することが多い病気です。
更年期になると卵巣の機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少します。
そのため、ホルモンバランスに乱れが生じ、体だけでなく自律神経や精神状態にも不調が起こります。
更年期に起こるさまざまな不調を更年期症状といいますが、仕事や家庭生活に支障が出るほど重いケースは、更年期障害という病気扱いとなります。

・自律神経失調症
自律神経は、24時間自分の意思とは無関係に、循環器や消化器、呼吸器などの活動を調整しています。呼吸や血液循環、体温調節、消化、排泄、生殖、免疫などの調整を無意識下でおこなっている、生命維持に欠かせない神経です。
自律神経の緊張が亢進すると、体のだるさや便秘や下痢、動悸、ほてり、痺れなどの症状が出現し、不安感も強くなります。
自律神経失調症は病名ではなく、交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態を示す慣用句です。
その原因は、不規則な生活や過度のストレスです。

・パニック障害
パニック障害は、不安症の一つです。突然理由もなく、強い不安とともに発汗や動悸、手足の震えが起きます。その状態を「パニック発作」と呼びます。
パニック発作が起きるのではないかという「予期不安」、発作が起こりそうなシチュエーションを避ける「回避行動」などの症状も現れます。
うつ症状を併発することも多く、外出や出勤など日常生活にも支障をきたします。

・不眠症
睡眠障害の一つです。床に入ってもなかなか寝つけず、中途覚醒や早朝覚醒を繰り返すなど、良質な睡眠をとれない障害です。
日中に眠気が起こり、倦怠感や集中力の低下、意欲や食欲の低下が発生します。日本では5人に1人が悩んでいる国民病です。
その原因は、ストレスや不規則な生活、薬の副作用、嗜好品の影響などです。

・適応障害
適応障害では、ある特定の状況やできごとが、その人にとってつらく耐えがたいと感じられるようになったとき、気分や行動に症状が現れます。
憂鬱な気分になったり強い不安を抱いたりするため、涙もろくなったり、極端に心配したり、神経が過敏になったりする疾患です。
これらが原因で、仕事や学業、家事育児などをおこなうのが困難な状態になると、適応障害と診断されます。