子どものカウンセリングは大人のカウンセリングとどう違うのか。

カウンセリングというと、会話をしながら自身の悩みや閉塞感を解消していくというイメージをもっている人が多いかと思います。では、例えば小学生などの子どもに対しても、まったく同じような手法でカウンセリングを行うものなのでしょうか。

 

対象が子どもであっても、会話によってカウンセリングを進めていくことにはもちろん変わりありません。しかし子どもとのカウンセリングでは、言葉に表れることのない本人なりの表現を大変重視します。言語能力に限界がある子どもは、自分の心を上手に表現できないことが多いため、言葉以外の表現の方がその内面を如実に反映することもあるからです。では具体的には、どのようなカウンセリングがあるのでしょうか。

最も有名なのは、遊戯療法と呼ばれる心理療法でしょう。文字通り遊びという表現を通してカウンセリングをしていきます。この療法に関しては、遊びを通してカウンセラーと良好な関係を作ることが子どもにとって大切だという意見と、遊びで自分を表現すること自体が子どもの自然治癒を促すのだという意見があり、現代ではどちらも大切な効用であると考えられています。特に、表現すること自体に大きな意味があり、そのことで前向きな方向に進んでいくという考えは広く支持されています。

 

子どもに用いるカウンセリングとしては、他にも絵を描く作業を通したものが数多くあります。有名なのは、子どもが紙に思いのままに線を引き、カウンセラーがその線から見えてきたものを描き足す、という療法があります。例えば子供が丸を書いたらカウンセラーが赤く色づけるなど補足描画をしてリンゴにする、といったものです。カウンセラーと子どもとのコミュニケーションになるうえ、なんといっても絵を描くこと自体が心の安定をもたらすもので、専門的にはスクイグル法と呼ばれます。

また、箱庭療法と呼ばれるものもよく用いられています。これは、砂が入った箱の中に自由に人形を置いていくというもので、子どもが砂を触ったり、人形を置いていったりしながら箱庭を完成させていく作業の中で、自然に心が安定していくというものです。

このように子どもとのカウンセリングでは、言語による表現よりも、遊び・絵・人形などを通した自己表現によるカウンセリングが重視されています。一見すると遊んでいるだけのようで、周りからはその真意を測りかねることもあるかもしれませんが、そこには自己表現という大切な意味があるのです。何よりも、子どもが心底楽しいと思えること自体が、子どものカウンセリングでは重要なのかもしれません。