ストレスと眠気の関連性、眠いのはうつ病だけではない

<ストレスと眠気>

朝起きた時「ああ、よく寝たなあ」と、グッスリ眠れた実感があると、一日をなんとなく快適に過ごせそうな気がします。
逆に睡眠不足の朝は、起きるのもしんどいことでしょう。

健康の三本柱は睡眠、栄養、運動といわれるように、健康にとって良質の睡眠はとても大切なもののひとつです。

 

★自律神経とストレスと眠りの関係

ストレスを感じると眠れなくなってしまう人もいれば、逆に眠くなって困る人もいます。これは、自律神経のバランスが崩れた状態です。

自律神経とは、自分の意志とは関係なく身体の調節を行う神経で、それには交感神経と副交感神経があります。「そういえば、高校の生物の教科書に書いてあったな」と思い出す人もいるでしょう。

交感神経と副交感神経は、互いに拮抗的に働きます。緊張状態にある時は交感神経が優位に働き、眠っている時やリラックスしている時は副交感神経が優位に働きます。

交感神経は、心臓の鼓動を速くしたり血圧を上げたり、胃腸の動きを抑えたりします。逆に副交感神経は、心臓の鼓動を抑えたり血圧を下げたり、胃腸の動きを活発にしたりします。

授業中に急に先生に指名されて心臓がドキドキしたり、プレゼンの際に心拍が多くなったりするのは、交感神経が優位に働いているからです。好きなことをしてリラックスしている時に心拍が落ち着くのは、副交感神経が優位に働いているからです。

 

 

★眠気を催す疾患

・うつ病

うつ病と聞くと、眠れなくなってしまうというイメージがあると思います。しかし、人によっては眠くてたまらないだけでなく、むしろ過眠になってしまうケースさえあります。

うつ病は不眠や食欲不振をともなう印象がありますが、このように寝てばかりになったり、過食になってビックリするくらい食べたりというケースもあるので、ぜひ覚えておきましょう。

 

・ナルコレプシー

「眠くて眠くてたまらない」という場合に考えられる病気のひとつに、ナルコレプシーがあります。

急に眠り落ちてしまうという症状をもつナルコレプシーは、まさにいつでもどこでも寝落ちてしまいます。横断歩道で信号が青になるのを待っている間、プレゼンをしている最中、自分の結婚披露宴の途中など、考えられないような瞬間にまで寝落ちてしまうのです。
現代ならば授業中の居眠りで立たされることはないと思いますが、10年ほど前なら先生に叱られてその場に立たされるということもありました。その際、急にガタッという音を立てて座り込んだ子がいました。なんと、座ったまま寝落ちていたのです。叱った教師もさすがに「いったいどれだけ眠いのだ?」と、あきれ返っていました。

授業中や仕事中に寝落ちてしまうと、気合が足りないとかやる気がないなどと思われてしまいます。しかし、いくら我慢しても突然寝落ちてしまうのがナルコレプシーです。単なる居眠りや寝坊助とは違うことを、きちんと押さえておかなくてはなりません。

また、ナルコレプシーの特徴的な症状に脱力発作があります。笑った時などに急に手足の力が抜けたようになり、ガクッと崩れ落ちる発作です。

 

・甲状腺機能低下症

うつ病としばしば間違えられる疾患に、甲状腺機能低下症があります。眠気を催し、うつ状態になって、なんとなく元気がないために、うつ病と勘違いされがちです。

甲状腺は、首の喉ぼとけの少し下に、蝶々が羽を広げたような形で存在している臓器です。長さは4~5センチ、幅は2センチ程の小さな臓器ですが、ここから甲状腺ホルモンが分泌されて新陳代謝をつかさどっています。

その甲状腺ホルモンの分泌が少なくなってしまうのが、甲状腺機能低下症です。新陳代謝が鈍くなるので、冬眠しているのと同じような状態になります。

体温が低くなる、脈拍が遅くなる、便秘になる、食べていないのに太ってくる、極度の寒がりになる、むくんでくる(皮膚粘液水腫といって指で押しても跡が残らないタイプのむくみが出ます)、そして眠気が強くなる、うつ状態になるといった症状があります。思考力も低下し、発語が緩慢になることから、うつ病っぽさを感じる医師も少なくありません。

女性に圧倒的に多い疾患で、り患する人の9割以上が女性です。

甲状腺ホルモンの検査は、一般的な人間ドックやレディースドッグの検査項目にはほとんど入っていません。そのため、健康診断では異常がないのに身体の不調があるということで、うつ病や更年期障害と誤診されるケースもあります。

 

「眠い」という症状がある場合、ストレスやうつ病だけでなく、特に女性の場合は甲状腺機能低下症のおそれも考える必要があるでしょう。また、「眠い」というレベルでは片づけられないほどの強い眠気がある場合は、ナルコレプシーも考慮しなくてはなりません。

さらに現代社会には、夜ふかしを誘発する環境がそろっています。深夜まで営業しているレストランや飲食店もあります。コンビニエンスストアは24時間営業なので、ついつい深夜に買いものに出かけて飲食してしまう、という人もいるでしょう。このような夜ふかしが、昼間の眠気を招くケースも多いのです。

 

眠いのはうつ病だけではないことを知り、安眠を妨げる要素はできるだけ取り除くようにしましょう。そして必要ならば医療機関を受診するなどして、生活改善に役立ててください。