うつ病の概要と治療や休職の必要性

・うつ病とは
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることで、さまざまな理由から脳の機能障害が起きている状態です。
具体的には、人間がやる気を出した時に分泌される脳内物質「セロトニン」が、不足している状態といわれています。
脳の機能が低下しているため、物事の見方が否定的になり、自分はダメな人間だと思い込んでしまいます。
かつては乗り越えられたはずのストレスも、ことさら辛く感じられるという悪循環に陥ります。

日本におけるうつ病発症者の割合は増加傾向で、人口の3%から7%といわれています。うつ病に関する認知度の高まりにより、患者が積極的に受診するようになったことと、
心療内科医の増加、社会的ストレス要因の増加傾向、診断基準の解釈の広まりなどが、発症者増加の理由として挙げられています。

・うつ病の症状
うつ病の症状をメンタル的要素でいうと、「抑うつ気分」「思考力の低下」「意欲の低下」が代表的です。
「抑うつ気分」は、気分が落ち込んだり、憂鬱感が強まったり、悲しい気持ちになったり、希望がもてなかったりします。
また「思考力の低下」では、集中力が低下し仕事の能率が下がったり、些細な決断ができなかったり、
注意力が散漫になって他人の言うことが理解できなかったりします。
そして「意欲の低下」については、これまで好きだった趣味にもやる気を感じなくなったり、人と話すのが面倒になったり、
テレビなどを見ても面白くなかったり、みだしなみについて興味を失ったり、じっとしていられなくなったり、
生活にハリが感じられなくなったりします。

身体的症状で、代表的なものが「不眠」です。寝つきが悪くなったり、早朝覚醒や中途覚醒などを繰り返したりします。
食欲が低下する人も多く、食べ物への興味を失ってしまいます。そのため、体重が極端に減少することもあります。
それらと合わせて、疲労や倦怠感を感じることもあります。
ホルモン系にも異常が発生することがあり、月経不順や性欲の低下が見られることもあります。

・うつ病になりやすい人
うつ病になる人には、共通の特徴があります。「まじめ」「責任感が強い」「完璧主義」「人からの評価が高い」「道徳感が強い」などです。
これらの性格をもち合わせている人は、人からの依頼を断ることができずに多くの仕事を一人で抱え込んでしまったり、
臨機応変な対応ができなくなって自分を追い込んでしまったりする傾向があります。

・うつ病の治療法
うつ病の治療には、病院の力を借ります。受診科目は「精神科」「心療内科」「メンタルクリニック」「こころのクリニック」などです。
これらの医療機関におけるうつ病の治療方針は、「休養」と「環境調整」、そして「薬物治療」「精神療法」です。
「休養」と「環境調整」については、職場においては業務量軽減、場合によっては休職となります。
そうすることで、患者がストレスを受けにくい状況へと、周囲の環境を整えます。

「薬物治療」は、うつ病の場合いわゆる「抗うつ剤」を使用します。
抗うつ剤は、脳内のセロトニンの働きを正常化することが期待される薬です。
患者の症状に合わせて、抗不安薬や睡眠導入剤、睡眠延長剤、気分安定薬などが使用されます。

合わせて行われるのが「精神療法」です。
精神療法には、物事をプラス思考で考えさせることが目的の「認知行動療法」と、対人関係のストレスを緩和することが目的の「対人関係療法」があります。

・うつ病発症時の休職の必要性
患者の抱えているストレス要因が会社にある場合は、特に休職が有効です。患者の状態を診た主治医が、必要に応じて休職をすすめるはずです。
うつ病の場合、求職期間の目安はおおよそ6ヶ月~1年ですが、
会社によっては復職前にリワークセンターに通うことをすすめています。

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